2011年10月27日木曜日

検証 社会福祉基礎構造改革 福祉サービス第三者評価

社会福祉基礎構造改革の推進により、福祉の仕組みが利用者本位のサービスへと転換が図られた。なかでも、大きな改革のポイントのひとつは、情報開示、苦情解決とともに、サービスの質を向上させる仕組みを取り込んだことにある。これにより、利用者はもとより、国および地方自治体、さらにはサービス提供事業者の意識も、措置の時代と比較すると随分と変化しつつある。


サービス評価の取組は、既に各県レベルでスタートしている福祉サービス第三者評価事業をはじめとして、多様な広がりを見せている。今回の特集では、こうしたサービス評価を受審した社会福祉法人が、サービス評価の意義をどのように受け止めているのか、さらには活用していく上の工夫のポイントはどこにあるのかなど、検証してみる必要があると考えた。

サービス評価の仕組みは、スタートしたばかりの制度である。評価基準や実施体制などについても、様々な意見が社会福祉関係者のなかに存在する。これについて、いまだ批判的な意見や懐疑的な意見の方が多いかもしれない。

また、実際に制度の運用からしましても、幾つも懸念される問題が指摘できるかと思われる。たとえば、甘い評価をする評価機関に受審申請があつまらないか。さらには、評価者の主観により評価結果が違ってこないかなどの意見があろうかと思われる。

しかしながら、制度のこうした問題点を改善していきながらも、福祉の現場においては、サービス評価の意義をプラス思考で受け止めることが大切かと考える。社会福祉法人によって経営される施設にとっては、これまで培ってきた福祉の専門性を、第三者評価という仕組みをつうじて、情報発信する格好のチャンスであるかと思われる。さらには、利用者の選択に必要な情報を積極的に提供するわけであるから、社会福祉法人ならではの公益性を証明することにもつながると考える。

さらには、施設において職員が、業界スタンダードである評価基準に照らして自らのサービス内容や水準を検証し、サービス管理体制の改善に取り組む。サービス評価とは、福祉―ビスに対する経営者の理念を組織に浸透させ、職員によるサービス改善の意識を育て、これらによってサービスの品質を管理するシステムの構築につなげていくひとつのツールであると考えられる。評価結果よりも、こうしたプロセスのなかで、サービス管理の責任者を育て、彼・彼女を中心にして、職員相互のチームワーク力を鍛えることが大切ではないだろうか。しばしば、高額な費用を払ってまでサービス評価を受審する価値があるのかという声が聞かれるが、少なくとも経営者であれば、サービス管理に関わる必要な人材の育成に投資するものと考えることができるかと思われる。そのためにも、行政とともに、サービス評価を受ける事業者の側からも、調査評価者あるいは評価委員として協力するなど、信頼できるサービス評価機関を育てていく必要があろうかと思う。

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