2011年9月30日金曜日

子ども・子育て新システムと保育士の処遇改善

昨日、私立保育連盟近畿ブロック役員会議があり、厚生労働省児童家庭局保育課長との意見交換会に出席してきました。兵庫県保育協会の理事として、参加しました。既にまとめられている子ども・子育て新システム「中間とりまとめ」をもとに、意見交換がされました。

大阪府立大学も、大坂社会事業短期大学の時代から、保育士の養成に取り組んできました。養成校の立場からしますと、民間保育園の保育士の給与が低いことが問題であると考えています。保育士の資格をとる学生の多くは、自治体の福祉職であるワーカーや公立保育所の保育士を選択します。長期にわたり安心して雇用継続でき、給与も上がる仕組みが魅力的だからです。

現行の保育指針がもとめる保育士の専門性を考えると、新システムのもとでも民間保育園の保育士の給与引き上げなど保育士の処遇改善、キャリアアップの仕組みづくりの検討が大切です。こうした観点から、保育単価の見直しが望まれます。

保育課長からは、新システムの実施にかかる追加の経費、新たに必要な財源が1兆円。このうち待機児童の解消など、量的整備に係る財源が4000億円、質的改善に係る経費が6000億円見込まれている。この財源をもって、保育の質の向上の立場から、保育士の処遇改善に取り組んでいきたいとの説明がありました。
制度改革についても、ピンチと受け止めず、長年の課題を解決するチャンスとみることができるかも知れません。

もっとも、1兆円の財源は、社会保障・税一体改革のもとで確保されるものと位置づけられています。新システムの実施も、税制抜本改革にかかっています。政府が消費税引き上げなど増税に踏み込めるかと考えますと、まだ紆余曲折がありそうです。やっぱり、消費税ひきあげかなぁ・・・・・。

2011年9月28日水曜日

介護マンパワーの確保と定着

介護マンパワーの確保

兵庫県老人福祉事業協会では、23年度「介護マンパワーの確保と定着率に関する調査」を実施しました。会員施設に対し、アンケート調査を実施し、回収された調査結果を分析しているところです。私も、老人福祉事業協会の理事として、この調査に関わっています。

介護マンパワーの確保についての調査は、既に幾つかの組織や調査機関により、実施されています。しかし、介護マンパワー確保の問題は、介護保険の運営に関わる重大な問題です。事業者団体としても、現在の問題状況と問題解決に向けた取り組みを、エビデンスをもって説明する社会的責任があると思います。

マンパワーの確保には、地域特性

マスコミを通じて、介護職員を確保するのがきわめて難しい状況が紹介されますが、マンパワーの確保の難しさや採用後の定着率は、地域によってかなり違いがあることがわかりました。たとえば、阪神ブロックと但馬ブロックを比較すると、但馬ブロックは、職員の平均勤続年数も9.4年と比較的長いことが明らかになりました。これに対して、阪神ブロックでは、職員の平均勤続年数が6.2年と短いことがわかりました。一年間に定年以外の理由から退職した正規職員の人数についても、但馬ブロックが3.1人であるのに対し、阪神ブロックでは9.1人でありました。都市部において、介護マンパワーの確保が重要な経営課題となっています。


与体系 公務員給与に準拠が2割

社会福祉法人の給与は、措置制度の時代には、行政の指導もあり、公務員に準拠する方式をとってきました。規制緩和によって、人事考課制度や能力給制度などを取り入れるなど、給与制度の見直しに着手した法人も少なくありません。しかしながら、介護の仕事は、給与が低いイメージが広がっている現在では、「介護は、地方公務員並みの給与が保証されている仕事である」という説明ができた方が、将来のマンパワーの確保につながると考えます。こうした立場からも、介護報酬のあり方についても、公務員の給与水準を踏まえたものとするべきと考えています。今回の調査では、18.9%の施設が公務員に準ずる給与体系をとっていると回答がありました。

短大専門学校卒業で平均給与初任給月額16万8千円

介護職の初任給は、短大・専門学校卒で、平均16万8千円、大卒で17万8千円でした。また、介護職全体の平均賃金は、月額22万1千円でした。確かに、初任給は決して低額ではありませんが、平均給与が低いように思われます。これは、平均勤続年数が短いことが、影響しているものと思います。介護職の仕事も、具体的にキャリアパスを示し、公務員並みに定着し勤続年数が伸びると、それに応じて給与が上がる魅力的な仕事にしていく必要があると思います。真面目に仕事に励むと、公務員並みの生活ができる給与水準であるべきです。

処遇改善費交付金の利用は89.4%

介護職の給与改善の目的から、処遇改善費交付金制度が創設されました。こうした制度を利用し、職員の給与を改善した施設が、89.4%ありました。これに対して、8.8%の施設が申請していなかったのは残念なことです。事業者としては、将来のマンパワーの確保という立場から、介護職員の処遇改善に熱心であるべきです。労働条件の改善を中心とした魅力的な職場づくりに努力していることを、利用者や地域住民からもわかってもらう必要があります。

2011年9月21日水曜日

社会福祉法人と新しい公共との関連

全国経営協、会報「経営協」4月号特集「アクションプラン2015に込めたもの」で、座談会に出席した時の関川の発言部分を紹介します。


「新しい公共」のなかで社会福祉法人が求められるもの

【櫛田】非営利法人であるNPO法人が、「新しい公共」の担い手として期待されています。このことを社会福祉法人はしっかり受けとめなければいけない。こうしたNPO法人に関しては、関川さんの受けとめはいかがですか。

【関川】「新しい公共」の議論があり、福祉分野でもNPO法人が身近な存在となっています。社会福祉法人が、同じ非営利組織であるNPO法人に対してどのようなスタンスを取るべきかが問われているように思われます。NPO法人の活動が脚光を浴びる一方であるから、社会福祉法人の一部にNPO法人脅威論があるのかもしれません。しかし、全体としてみれば、地域の福祉課題に関わるパートナーとして、NPO法人をとらえればいいと考えています。社会福祉法人が、NPO法人を支援する立場に立つ、地域のネットワークづくりをバックアップする、活動の相談役になるなどの役割を果たすことが社会福祉法人に求められていると思います。
このような行動を通じて、社会福祉法人自体が、「新しい公共」のなかで一定の存在意義を発揮することが必要なのではないかと考えます。

【武居】社会福祉法人の存在は、「新しい公共」のなかで当然位置づけられるべきだと思いますが、実はある機会にお話をうかがって心に響いたのは、「NPOとのイコールフッティングを」という関川さんの言葉でした。社会福祉法人の歩みを振り返ると、当初はNPO法人と同じように活動をはじめ、しだいに制度化し社会的な地位を築きあげて、今日があるわけです。その過程で、社会福祉法人が忘れてきたこともある。そのあたりを表したのでしょうか。

【関川】私は、NPO法人の側から社会福祉法人にイコールフッティングを求めてくるだろうと思っています。ともに非営利法人同士が、介護、障害、保育分野などで同じ事業を行っています。ところが法人税をみると、NPO法人は課税、社会福祉法人は非課税です。社会福祉法人は利益が出た場合、その使途を明確に説明できるのだろうか、という疑問があります。
 仮に、NPO法人が、介護事業において、1,000万円の利益が出た場合、300万円納税して、700万円が手元に残るわけです。NPO法人の立場からみれば、非課税の社会福祉法人は、非課税相当分の300万円を社会のために使っているのだろうか、と考えるでしょう。あるいは、同じ介護事業しながら、社会福祉法人は税を納めず、1000万円残すことができる。同じ非営利組織でありながら、これは不公平ではないか、と考えるに違いありません。また、国民は、社会福祉法人は介護事業で利益率10%をあげていると聞くと、「ずいぶん儲けているのだなぁ」と思うかもしれません。社会福祉法人は、市民活動やNPO法人から求められるイコールフッティングに耐えられるだけのアカウンタビリティーを徹底し、正しい理解を得ていく必要があるのです。


【浦野】社会福祉法人は長期的な財務計画を自分たちで考えるトレーニングをしてきていない。そればかりか、決算をしてみたら剰余金が予想を超えていた、という例はいくらでもあります。経営感覚、経営能力の未熟さゆえに、例えば介護事業で剰余金が出ると、数字がひとり歩きしてしまうなどがいい例で、社会の誤解を招きかねない。

「アクションプラン2015」のめざすもの
【武居】かつてのアクションプランの方向性は間違ってはいなかったが、契約制度などに対応するには中途半端でした。例えば、成年後見制度に十分対応できるものであったとはいえません。また、剰余金を「とりあえず残しておく」というような、経営面での未熟さがあります。
そうした現時点の環境から、将来へ向けて新たな一歩を踏み出すための行動指針となるのが、今回の「アクションプラン2015」だと考えていいと思います。

【関川】ところで、「アクションプラン2015」は、前プランより詳しく書かれていますが、目新しさは感じられません。これを読まれる社会福祉法人や関係者は、両プランを比較しても違いが実感できないのではないでしょうか。
 それと同時に、「新・アクションプラン21」によっても社会福祉法人の公共性が国民に届いていないのであれば、そのことを今後5年間の戦略としてどう考えるかが課題だと思います。

【武居】新しさの匂いが感じられない点はどこでしょうか。

【関川】全体から受ける印象が同じであると思いました。ただ、こうしたものは、大切なことを省けないため、抽象的かつ幅広にならざるを得ません。そして、ここに挙げる経営をすべて忠実に実践すれば、非効率的で利益が残らないものです。
「そもそも社会福祉法人の経営はそうしたものだ」というメッセージを示せれば、イメージは大きく変わったのかもしれません。

【平田】非営利性の意味は、事業で得たすべての金銭的成果は、社会福祉事業に充てるか、地域の生活課題や福祉需要に還元する、とされていることに象徴されます。その非営利性を、これまで社会福祉法人経営者が認識していたか否かが問題だと思います。これを極論すれば、「利益をゼロにすることが非営利性だ」となります。

【浦野】経営原則に立ち返ると、提供サービスに対して、そもそも原価程度の金額しか支払われていない。そのうえに、利用者の居住環境をよくする、利用者個々のニーズに沿ったケアを行う、地域福祉ニーズに応える、職員の労働条件を改善するなどを実践するとマイナス経営になりますね。それでも社会福祉法人は取り組むのです。


【櫛田】社会福祉法人が公共性をもつ法人だ、というメッセージが国民へ届いているか否かは疑問です。では、会員の社会福祉法人には届いているのか。その分析を武居さんにお願いします。


【武居】アクションプランができたときは目新しく、会員は意識していたと思います。中期行動計画をベースにして、それぞれの会員自身で行動計画をつくるべきですが、そこまで浸透し到達したとは残念ながらいえないと思います。
 ですから、今後の5年間に向けて、「アクションプラン2015」を参考に、それぞれの法人自身が行動計画を作成し、実践していくことが大事だと考えます。


【浦野】「アクションプラン2015」に述べられていることは、すでに実践しているから当たり前のことと会員法人が受けとめているなら、策定委員側の理解が不足していたことになる。しかし、聞き飽きたと思うレベルのものが並んでいても、実践していない社会福祉法人があるから問題なのです。


【関川】取り組み課題としては、耳慣れたものだとしても、実践を評価するチェックリストとして使用するには十分意味があると思います。例えば、経営面の問題もありますが、地域福祉の推進、公益的取り組みの課題はこれまで、いわれているほどは実践されていないといえます。
 今後5年間で、ここに示された取り組み課題ぐらいは実践しないと、社会福祉法人は国民から信頼されない。つまり、「アクションプラン2015」は「理念」から「実践」へのステップととらえることができるでしょう。そして、2015年時点では取り組み課題の実践評価にすべてチェックが入るようにしなければいけないと考えます。



複数主体で取り組む公益的取り組み


【浦野】関川さんのご発言にもあった、公益的な取り組み、地域福祉の推進は非常に重要だと思っています。これまで全国経営協は、何年にもわたって「1法人1実践」活動を、と公益的な取り組みを呼びかけ、実践事例もそれなりに報告されています。しかし、社会に対する訴求力としては、いまひとつ弱い。それはなぜか。「1法人1実践」活動の推進は、取り組みの入口としてはよいのですが、1法人の「点」としての活動にとどまっているからだと思います。つまり経営に「地域」をとらえる視点が入りきっていない。そこで、地域の複数法人が連合して実践する、社会福祉法人以外など事業主体横断で連携するなど、「面」的な広がりを強めた活動をさらにすすめてもらいたい。事例は何千とあり、社会福祉法人だからできたと評価していますが、その多くは「点と線」での実践であった。今後は、個別ニーズだけでなく地域社会全体を視野に入れた、「面の広がり」をもった公益的な取り組みの強化が重要です。


【関川】今は、1法人1実践活動の振り返りの時期にあると思います。1法人1実践活動が始まった当時は、私は、社会福祉法人のさまざまな実践をPRしよう、といいました。しかし、その実践が地域住民にとって、価値をもつものと評価されているか検証してこなかった。本当に地域の人たちが求めているものなのか、特定の対象のニーズには応えていても、地域全体の福祉課題にマッチングしていたのか。ソーシャルマーケティングからみた場合、より必要な事柄があったのではないか。そうした検証をしてはいかがでしょう。
 それと、1法人1実践活動をみると、単独法人の取り組みだけでは、取り組める事業にも限界があります。制度のはざまにある地域の福祉ニーズに対し、複数組織で取り組むことが望ましいと思います。たとえば、大阪府社協老人施設部会が取り組む社会貢献事業のように、制度外の事業の仕組みづくりには、複数法人での協力が実現への近道です。これは、今後の地域福祉の推進や公益的取り組みのモデルだと思います。
「行動指針」でも、「地域福祉の推進」には、多様な関係機関、組織、個人との連携・協働を主導、と掲げられています。「公益的取り組みの推進」には、新たな福祉需要への対応、地域における多様な生活課題への取り組みを挙げています。
こうした対応の一つの方法として、「新しい公共」に対する助成事業のなかで「マルチ・ステークホルダー・プロセス」という考え方が示されています。これは、多様な担い手(マルチ・ステイク・ホルダー)が協働して、自らの地域の課題解決にあたるプロセスづくりに対し助成しようというものです。社会福祉法人も、NPO法人、ボランティア、地域住民、自治組織などが集まる場をつくり、虐待やDV、認知症高齢者の徘徊などの問題に対処する話し合いを話し合う。個々の利害関係者をつなぎ、課題解決に向けた場づくりをすることが、地域における社会福祉法人の役割になるのではないでしょうか。そこで議論された支援方法について、ヒト・モノ・カネの工面を相談する。必要な人員を配置する、場所を提供する、資金提供をするなどの役割を果たす。そうした支援体制を整えたうえで、行政との連携や補助金の申請などを働きかける。「新しい公共」というと、NPO法人への期待が大きく打ち出されていますが、同じ非営利法人である社会福祉法人も、まちづくりに貢献するために、積極的に手を挙げるべきです。それによって、地域において「新しい公共」のセンターとして社会福祉法人が存在を示すことができます。多様な主体と仲間づくりをして、地域の課題解決の道筋をつくっていく取り組みが必要だと思います。
今回の「行動指針」をいくつか重ねて読み合わせると、地域の福祉課題に主体的に取り組む役割を社会福祉法人に期待している、と読み取ることができます。


【武居】社会福祉法人は、施設と地域、施設と在宅という意識が従来からありましたが、この発想を変えなければいけないと思います。また、地域福祉に関しては、社協に遠慮する向きもありました。


【関川】地域の新しい課題解決への動きは、行政も社協も遅い。あくまで私見ですが、NPO法人も、フットワークが軽いが、概して組織力に課題がある。あるいは、情熱的であるが、システムやプロセスづくりは苦手のようにみえます。そうだとすれば、ここに社会福祉法人が果たす役割があります。さらには、皆さんがその役割を担うことで社協の活性化にもつながると思います。
社協が資金を入手する先は、主に地方公共団体や厚生労働省ですが、社会福祉法人がそれ以外のところから補助金を得て、地域福祉ニーズに応える仕組みをつくる役割を果たすことで、社協の活性化が可能となる。社会福祉法人が、社協とNPO法人とをつなぎ、コーディネートすることで円滑になると思いますし、地域での社会福祉法人の役割が外部からも見えやすくなると思います。


【櫛田】この場合は、社協、NPO法人、社会福祉法人、地方公共団体とのコラボレーションですね。ここでの社会福祉法人の役割は何でしょうか。


【関川】社会福祉法人の担うパートはディレクターです。舞台裏で全体を統制していく役割だといえます。


【浦野】反省させられるのは、これまでは社会福祉法人と地域の社協の関係がよそよしい状態にあったことです。またNPO法人には、妙な敵愾心を抱いている。そんなことに囚われている場合ではありませんね。むしろ、それらの事業主体と相補的な関係を築く必要があります。
 これまで、社会福祉法人は零細企業だといってきましたが、片やNPO法人には巨大企業として映る。社会福祉法人には、事務能力やサービスのノウハウも豊富にあります。そうした分野で、NPO法人を支援する、また一緒に取り組んでいくことができる。自らの強みを評価し、活用すべきです。



「アクションプラン2015」推進へ期待すること


【櫛田】最後に、関川さんから「アクションプラン2015」へ期待することをお聞かせください。


【関川】重要なのは「行動指針」14の「ガバナンスの確立」だと思います。社会福祉法人として何を考え、どう行動するかが現在問われているわけで、それを決定・実行できるのは経営組織です。経営資源は限られているなかで、「アクションプラン2015」に示された役割に近づける舵取りができるか、というのがガバナンスだと思います。
 株式会社であれば、株主利益に応える経営を忠実かつ公正にしているかが、ガバナンスが求められるポイントであると思います。これに対し、社会福祉法人のガバナンスは、利用者家族、地域住民の利益に応える経営を忠実かつ公正にしているかが問われるべきです。こうした組織の意思決定や手続きの在り方が公正である必要があります。
要するに、ガバナンスにおいて問われるのは、組織統治の結果であり、経営内容です。「行動指針」1~13までを実践していく経営戦略が必要です。各法人の理事会で、「アクションプラン2015」を参考に、今後5年間の中期計画を練り直していただきたい。同時に、それを参考にチェックリストを作成し、実践できたか否かを毎年理事会で議論してほしい。
 「アクションプラン2015」は、社会福祉法人の存在意義を高めるために重要なものだと思います。それぞれの法人が、このプランに基づいて実践していただきたいと思います。


【櫛田】私たちは「社会福祉法人発展・強化プロジェクト」の推進に加え、新たな「アクションプラン2015」をベースにした取り組みを促進していきたいと思います。

城陽市障がい者自立支援協議会の設置

 障がい者自立支援協議会の意義

 9月19日、城陽市において、新たに障がい者自立支援協議会が設置され、委員長に選任されました。障害者自立支援法は、いろいろ批判の多い法律ですが、障がい者と障がいをもたない者が同じ市民の立場から共に障がいがあっても住みやすいまちの在り方を協議する場を設けたことは評価できると思います。

関川 あいさつ

「障害者権利条約に基づき、国内法を整備している。1980年の国際障害者年でも指摘されたことだが、障がい者を排除しようとする社会は弱くて脆い。当協議会においても、大切なことは、障がいの有無に係わらず、地域社会を、ひいては城陽市をどう作っていくか、である。皆様と障がい者が安心して自立した生活を送ることができるように、まちづくりの視点から、施策のありかたを考えていきたい。」

自立支援協議会についての事務局説明

「障がいのある方が地域で暮らす上で、様々な課題があるが、現行の障害福祉サービスや社会資源をその課題の解決と適切に結びつけ、サービス管理、調整するため、推進役となる相談支援事業所の役割は大きい。しかし、その課題に充分に応えられるかと言えば、地域の福祉力や行政の施策の充実だけでは十分ではない。そこで、行政、相談支援事業所、サービス提供事業所、さらに雇用、教育、医療といった機関が「障がい者自立支援協議会」でのつながりを足がかりに、「障がいのある人が地域で安心して暮らせる街づくり」を考えていく。」


 課題は、自治体がどのように運営するかに、かっかています。形式的な協議会の運営で済ませている自治体もあるようです。従来の推進協との違いがわからないという意見もあります。城陽市においても、支援事業者の連絡調整会議にならないように、城陽市とも協議しながら、委員の皆さんと住みやすいまちづくりに関わっていきたいと思います。

 初回の協議会は、委員の委嘱、委員長の選任、専門部会の設置、専門部会の活動、サービス利用状況の説明などで終了しました。専門部会は、①サービス調整検討部会、②地域支援部会、③就労部会、④聴覚言語障がい支援部会、⑤療育部会が設置されており、活動内容についての報告がありました。委員からの建設的な問題提議もあり、これからの協議が楽しみです。