2008年11月26日水曜日

保育士と考える実践保育リスクマネジメント講座、刊行しました。


私の単行本がでました。


「保育士と考える 実践保育リスクマネジメント講座」
保育リスクマネジメントをゼロから始めるための入門書
関川 芳孝 著
出 版 社:全国社会福祉協議会出版部
サ イ ズ A5 228頁 ISBN978-4-7935-0943-8
発行年月:2008年11月
価  格 1,260円 (本体 1200円)

保育園の事故から子ども達の安全を守る保育リスクマネジメントの入門書。 事故事例から考えるリスクマネジメント活動や、リスクマネジメントの実践をわかりやすく解説!

本書は、保育士の皆さんと一緒に保育リスクマネジメントをゼロから始めるための入門書です。そのため、リスクマネジメントを始めてみよう、いくつかの事故事例から考えるリスクマネジメント活動、保育士と始めるリスクマネジメント実践編の三部構成になっています。これを手がかりにして、自らの保育園における事故リスクを発見し、どのように対応するべきか保育士のみなさんと話し合っていただくことを期待しております。事故に対する危機意識を保育士相互に共有し、保育園として事故の防止に取り組んでください。リスクマネジメント活動により、子どもたちの安全を守ることができれば幸いです。  本書は、『保育の友』「実践 保育リスクマネジメント講座」の連載(2004年5月号~2008年4月号分)に若干の加筆をし、一冊にまとめたものです。福祉の分野においてリスクマネジメントの取り組みが広がり始めたころに、『保育の友』の連載が始まりました。当時は、連載の企画のなかで「マネジメント」というと、保育士の皆さんから「私たちには関係ない」と読んでもらえないのではないかと心配したことをおぼえています。そのため、可能な限り具体的で身近な事例を使い、保育士の皆さんにわかりやすい内容にするように心がけたつもりです。  保育リスクマネジメントは、第三者評価の基準のなかにも取り込まれています。また新しい保育所保育指針においても重視されています。子どもたちの安全に配慮することは保育の基本です。保育士一人ひとりが、そのことを自覚し保育にあたることはもちろんですが、保育園としても、保育士が事故のヒヤリ・ハットした経験を共有する機会を増やし、具体的な事例から事故を回避する方法を考えさせることが大切です。  私は保育リスクマネジメント活動のなかでも、子どもの行動に対する「危ない」という保育士の気づきを育む人材育成のプログラムが大切であると考えています。保育士が、ヒヤリ・ハット報告を書くこと、リスクマップを作ること、事故防止のマニュアル作成に参加することなどのリスクマネジメント活動から、保育士は子どもの「危ない」について、多くのことを学ぶでしょう。これからのリスクマネジメントを始めてみようと考えておられる保育園では、リスクマネジメント園内研修テキストとして、本書を活用いただければ幸いです。

第I章 リスクマネジメントを始めてみよう
1 今保育園に求められるリスクマネジメントとは
2 他園の事故に学ぶ(1)
3 他園の事故に学ぶ(2)
4 保育リスクマネジメントの意義
5 ヒヤリ・ハット経験から学ぶ事故予防のヒント
6 リスクマネジメントを始めてみよう
7 リスクマネジメントの組織体制づくり
8 リスクマネジャーの役割
9 事故報告およびヒヤリ・ハット報告の書き方
10 事故報告およびヒヤリ・ハット報告の分析(1)
11事故報告およびヒヤリ・ハット報告の分析(2)
12 ケース・スタディ、事故事例に学び考える
13 事故防止マニュアル作成の意義

第II章 事例から考えるリスクマネジメント活動
1 大型遊具からの転落/ケース会議での事故の検討
2 大型遊具からの転落/大型遊具のあそばせ方を再検討
3 ホールでの転倒/事後対応のまずさから
4 ホールでの転倒/非常勤保育士の研修は?
5 ホールでの転倒/あそびの設定を見直してみる
6 感染症対策
7 不審者対策/不審者問題を考える視点
8 不審者対策/不審者対応マニュアルを作成
9 不審者対策/不審者対策防犯訓練
10 不審者対策/園内で見知らぬ人を発見
11 園外散歩とリスクマネジメント/公園で美貴ちゃんがいなくなった
12 園外散歩とリスクマネジメント/お出かけチェックリストの見直し
13 園外散歩とリスクマネジメント/マニュアルの落とし穴
14 園外散歩とリスクマネジメント/園外散歩リスクマップの作成
15 園外散歩とリスクマネジメント/公園のリスク情報を共有する
16 園外散歩とリスクマネジメント/人数確認と死角
17 地域で子どもの安全を守る/地域安全プロジェクト
18 地域で子どもの安全を守る/地域安全モニターの募集
19 園外保育とリスクマネジメント/浩志君が池に落ちた!
20 園外保育とリスクマネジメント/遠足の事故を検証
21 園外保育とリスクマネジメント/子ども達をトイレに連れていく間に
22 園外保育とリスクマネジメント/多くのリスク要因が発生
23 園外保育とリスクマネジメント/SHELLモデルにより検証する
24 園外保育とリスクマネジメント/ヒューマンエラーの起こる背景
25 個人情報の漏洩/個人情報保護法とは
26 個人情報の漏洩/リスクマネジメントの発想で
27 個人情報の漏洩/プライバシー・ポリシーを公表する
28 個人情報の漏洩/個人情報の第三者提供
29 個人情報の漏洩/児童票の開示請求があったら

第III章 保育士と始めるリスクマネジメント
1 保育士と始めるリスクマネジメント活動とは
2 事故の情報を共有し、事故を防ぐヒントを考える
3 ワークシートを活用し、事故の状況を知る
4 リスク発見活動に取り組もう
5 マトリックスを活用し、事故を分析する
6 フローチャートを作成し、背景要因を考える(1)
7 フローチャートを作成し、背景要因を考える(2)
8 ヒューマンエラーの構造を把握する
9 SHELLモデルを活用し、多面的に対策を考えよう
10 チェックリストを活用し、安全点検に取り組もう
11 リスクマップを作成し、潜在的リスクを「見える化」しよう
12 事故をめぐる苦情対応
13 事故発生後の保護者対応にロールプレイを取り入れよう
14 PDCAの改善サイクルを構築しよう

2008年11月6日木曜日

福祉経営について

全社協からの学習双書、社会福祉施設運営論を執筆中です。
締切はすでに過ぎていますが、あと十五枚(一枚、1000字)ほど執筆しなければなりません。
必死に書きつづっているところです。

さて、福祉経営についてあらためてあれこれと考察し、いくつか疑問に思ったことがあります。

福祉経営についての問題意識は、2000年以降、企業モデルの福祉経営に傾斜しすぎているのではないか。結果として、国民からみれば、国民福祉の向上に貢献する非営利の特別公益法人の存在意義を実感できなくなっているのではないかと考えています。
「社会福祉法人経営の現状と課題」では、大法人主義をめざしているようにも受け止められますが、日本の社会福祉法人の大部分は、一施設経営の小規模法人です。報告書の趣旨もわからないではありませんが、現状からみれば随分とギャプがあるように思います。

小さな法人が元気になる福祉経営論が必要です。すべての法人が、経営努力し、増収増益、規模の拡大をめざしているわけではありません。福祉経営のモデルにすべきは、元気なNPO法人ではないかと考えています。

さて、特定非営利活動法人、NPO法人についてですが、調べてみて、介護事業からの収入は課税対象となるということを知りました。恥ずかしいことですが、これは新しい発見でした。NPO法人の公益活動は、非課税と考えていたからです。

社会福祉法人による事業は、NPO法人と比較し、公益性、公共性が高いととえるでしょうか。社会福祉法人につい非課税とする合理性について、あらためて考える必要がありそうです。措置の時代からの経緯からすれば、社会福祉法人の介護事業が非課税になるのは当然と考えていますが、社会福祉法人の公益性について考えなおす必要がありそうです。

2008年11月1日土曜日

出雲にて保育リスクマネジメント講座

昨日、広島の大会終了後、バスで出雲市に移動しました。
出雲には、十一月全国の神様が集まっておられるとのこと。
見えない神様を思い浮かべながら、須佐神社に寄ってきました。
日本有数のパワースポットでそうです。
自然のエナジーを感じながら、気合で疲れを感じることなく、研修会に臨めました。
会場では、保育士の皆さんの真剣なまなざしを感じながら、あっという間の二時間でした。
リスクマネジメントの実践が広がり、保育士さんの学びから子どもの命が守られるのであれば、研究者冥利につきると思っています。
島根の保育士の皆さんありがとうございました。