2010年3月2日火曜日

認可保育園、スマイルサポーターによる地域貢献

読売新聞からの取材を受けました。スマイルサポーターによる地域貢献です。


大阪府社協、20か所に支援員配置

 「悩んだ時は、保育園が力になります」と銘打ち、介護や病気、配偶者や恋人からの暴力(DV)などの相談について保育園が受付窓口になる取り組みを、大阪府社会福祉協議会保育部会が行っている。保育園が育児以外の悩みにまで対応するケースは、全国的にも珍しい。

 相談に応じるのは、「地域貢献支援員(スマイルサポーター)」。5年以上の実務経験がある保育士や保育園長で、カウンセリングや地域福祉、生活保護などの各種支援制度について、計90時間以上の養成講座を受講する。現在580人が府知事の認定を受けた。

 単独で問題を解決するのではなく、相談を聞いて民生委員や行政などと連携。病院や老人福祉、障害者施設、NPOなどの関係機関や既存の支援制度を紹介する。

 08年度から茨木市、泉佐野市、堺市の20園でモデル事業を実施。DVや高齢者介護、引きこもり、病気についてなど計475件に対応した。

 入所園児の保護者ではない女性から「夫からDVを受けている」と相談があった際、行政と連携して保護したほか、独居の高齢者から「介護を受けたいが何も分からない」と相談され、ケアマネジャーを紹介したケースもあるという。今後は、府内の全民間認可保育園にスマイルサポーターを各3人配置し、全園で相談を受ける体制づくりを目指す。

 大阪府立大の関川芳孝教授(社会福祉)は「保育園は地域に必ずあり、開園時間が11時間と長く、卒園児の保護者も多いので身近な相談窓口となりうる。今後は高齢者施設や障害者施設とも連動すれば、さらにきめ細かな安全網が作れる」と評価している。
毎日新聞からの取材を受けました。

資格取得、国がサポート 授業料免除し給料も/生活資金に月10万円 不況が続くなか、国が雇用の柱と位置付けているのが人手が不足している介護分野だ。昨年春以降、失業者などを対象にヘルパー2級や国家資格である介護福祉士の資格を無料で取得できるさまざまなメニューが用意されている。 昨年10月、国は成長分野の雇用促進を目指す「緊急雇用対策」をまとめた。

その一つが働きながら介護資格が取れる「介護雇用プログラム」の創設だ。都道府県が実施主体で、地域の介護事業者らと協力して進めている。 いち早く実施したのは失業率が全国平均より高い大阪府だ。緊急対策のため09年度はヘルパー2級に限定したが、受け入れ先を公募すると、昨年12月初旬までに特別養護老人ホームや通所介護事業所など16事業所が手を挙げ、計228人分の雇用枠を確保できた。 介護雇用プログラムは無資格者が対象だ。参加者は、授業料が免除されるうえ、受講時間が勤務時間とみなされるため給料ももらえる。資格取得の経費や取得期間中の給料は公費で負担。介護事業者は実務指導などを担当するが、資格取得後も継続して雇用することができ、人材確保にもつながる。 ただし、介護業界には依然「低賃金で仕事がきつい」というマイナスイメージもつきまとう。

府によると、今月5日段階で、年度末までの資格取得を目指しているのは185人で雇用枠の8割程度だ。福祉人材コーナーのあるハローワーク大阪東の職員は「求職者が急激に増えているわけではない」と話す。府は今年4月以降、働きながら介護福祉士を目指すコースも加え、拡充を図る考えだ。プログラムはまだ全都道府県で実施されていないが、国は来年度に約1万5000人の雇用を目指している。   * 授業料を負担せずに資格を取得する方法はほかにもある。失業手当などを受けながら、資格取得を目指す「職業訓練」もその一つ。 以前から、離職者などが職業訓練の制度を活用してヘルパー2級の資格を取ることはできたが、昨年4月に訓練期間が「1年以内」から「2年」に延長された。これにより、資格取得に2年かかる介護福祉士を目指すことも可能になった。

 さらに7月からは、訓練中の生活資金として、失業手当が受けられない長期失業者や雇用保険未加入者なども条件をクリアすれば訓練・生活支援給付金を受けられるようになった。単身者は月10万円(家族がいる場合は月12万円)が支給される。職業訓練には、ヘルパー1級や介護職員基礎研修などのコースも用意されている。 09年度は約2800人が職業訓練の制度を使って介護福祉士を目指している。国は来年度、介護福祉士▽介護職員基礎研修▽ヘルパー1、2級で、計約2万5000人の訓練を目指す。

  パートタイムを含む常用雇用の有効求人倍率は昨年11月時点で0・42にとどまるのに対し、介護関係職種は1・32と1倍を上回る「売り手市場」だ。 介護職の賃金は07年度は男女平均で年305万円(36歳平均)と他産業に比べると低いが、昨年春には介護報酬が00年の制度開始以来初めて引き上げられた。10月以降は1人当たり月1万5000円相当の処遇改善交付金が出ており、わずかだが底上げが図られている。

 大阪府立大学人間社会学部の関川芳孝教授(社会福祉法制論)は国の資格取得支援について「多様な選択肢が用意されることで、これまで介護の仕事を考えていなかった層の掘り起こしにつながり、人材確保の一助になる」と評価。こうした人材が介護の現場に定着するためには事業者が「介護職員の処遇改善はもとより、さまざまな不安や悩みを受け止める職場作りや、先々のキャリアアップの道筋を示すことが重要だ」と指摘する。