今年の春亡くなられた宝塚NPOセンターの森さんとの座談会内容です。
2007年の月刊福祉5月号掲載。
震災ボランティアが、なぜまちづくり・ボランティアとして、活動を継続できなかったかについて、森さんの興味深い指摘があります。
あらためて、ご冥福をお祈りします。
森さん、OGNの皆さん、頑張っていますよ。
大阪府が、福祉コニュニティ・ビジネスを支援する中間支援組織を立ち上げようとし、助成金事業を設けました。当時、私も森さんとともに選考委員として、中間支援組織の選考に関わりました。従来の実績からみると、大阪府社協か大阪NPOセンターあたりになるのかなと考えていました。しかし、いずれもプレゼンテーションが今一歩でした。ダークホース的な存在であったのが、寝屋川あいの会でした。森さんが、迷う委員に対して、寝屋川あいの会でいきましょうと強く推薦したのを覚えています。これが、大阪の社会起業家集団OGNの立ち上げにつながりました。
森さんが、あのときの選考委員に入っていなかったら、大阪にOGNは作られなかったと思います。
◇森 綾 子(もり あやこ)
元 特定非営利活動法人宝塚NPOセンター理事・事務局長
関川 地域のさまざまな福祉課題を解決するためには、制度に基づいたフォーマルなサービスだけでなく、多様な主体によるインフォーマルなサービスの存在が必要不可欠になっています。そのようななか、福祉分野に限らず、地域に根づいた活動を〝コミュニティ・ビジネス〟として取り組む社会起業家が増えています。
本日は、自らもコミュニティ・ビジネスの起業家であり、また、多くの社会起業家の育成・支援に取り組む、森 綾子さんに、コミュニティ・ビジネスの動向と、それを支援する中間支援団体の現状などについてうかがいます。
◆ コミュニティ・ビジネスに取り組むようになった経緯
関川 はじめに、森さんがコミュニティ・ビジネスに取り組まれるようになった経緯についてお聞かせください。
森 私は、30歳の頃にボランティア活動を始めたのですが、当時、10年後の自分をイメージし、「とにかく10年間継続してプロになる。いつかボランティアを仕事にする」ということを目標において、活動していました。35歳の時に、東京大学の上野千鶴子先生の調査・研究に関わらせていただいたことも、その後の人生に大きく影響していますが、それから10年を経て、宝塚市社会福祉協議会のボランティアコーディネーターとして就職することができました。
当時、社協ではボランティアの育成に関する取り組みは、今ほど活発ではなく、どうしたらボランティアがたくさんいるまちにできるのかを考えて、リーダー研修に力を入れることにしたのです。この時、コーディネーターの仕事は、天職だと思ったのです。
そして、コーディネーターとして8年目を迎えた年に、阪神・淡路大震災が発生しました。宝塚市役所に「災害ボランティア本部」が設置され、全国から5万人のボランティアが宝塚に駆けつけてくれました。この時、市役所と一緒に救援活動を進めたことが、その後の連携を深めるきっかけになりました。震災を通して、市民同士の助け合いの必要性、福祉以外の分野のボランティアの重要性、リーダー不足とボランティア教育の必要性、市内だけでなくより広いネットワークの必要性など、多くの教訓を得ました。
一方で、さまざまな問題点も浮き彫りになりました。なかでも、社協をはじめ組織的な対応が必要な機関では、手続きなどに時間がかかりすぎて迅速な対応ができないという問題です。例えば、今食べるパンを買うお金が必要なのに、寄付金は一度善意銀行に入れなければならなかったり、使命を終えて解散するにも決裁に時間がかかってしまったりと、迅速な対応をとるためには社協では組織が大きすぎる。市民が自分たちで考え、即実行できる組織づくりの必要性を強く感じたのです。
また、日本の災害ボランティアは、災害死傷者が出た家庭や高齢者・障害のある人といった支援の必要度が高い人しか支援しない傾向があります。例えば、死傷者が出た家には家財道具を運ぶボランティアがいても、そうでない家のピアノを運ぶボランティアはいないのです。
困っている一般市民を助けるのは誰なのか。やはり、市民が困っている時は市民活動団体が対応すべきだと思うのです。しかし、福祉ボランティアの育成はボランティアセンター、女性問題の解決や女性グループの支援は女性センター、国際ボランティア・NGOの支援は国際文化センターがありますが、あらゆる市民活動団体を育成する機関がなかったのです。
このような経緯から、私たちの手で市民活動団体を育成するセンターをつくろうという意思を固めました。
活動当初は、市民同士の助け合いを、有償(最適料金)で行うこととしました。
宝塚市ボランティア活動センターをベースに設立したことで、多くのボランティアの協力のもと、市の支援も得て、活動を開始することができました。
◆ 震災から10年、ボランティア・NPOはどう変わったか
関川 震災をきっかけに、ボランティアやNPOにはどのような変化が起きたとお考えですか。
森 あれから10年が過ぎて、いろいろなことがみえてきましたが、〝まちづくりボランティア〟のほとんどがいなくなったことは大きな変化ではないでしょうか。
関川 なぜ、まちづくりボランティアがいなくなったのですか。
森 私は、原因の1つとして、NPO法人にしなかったことがあると考えています。震災時に活発に活動していたボランティア組織で今も継続しているところは、すべてNPO法人になっています。また、復興支援の助成金の削減により、財政的に立ち行かなくなったところもあるでしょう。
さらに、現在、深刻な問題となっているのは、どんどん新しい人が入ってくるなかで、共通のミッションがなくなり、内部分裂が起きているところが増えているということです。新しく入ってくる人のなかには、ただ単に働くためだけの人もいて、「働かせすぎだ」「給料を上げろ」という人が増えているようです。
◆ コミュニティ・ビジネスの現状と課題
関川 コミュニティ・ビジネスとは、具体的にどのような活動なのでしょうか。
森 私は、コミュニティ・ビジネスとは、地域住民が、地域の活性化や課題解決に向けて、自らが有償で取り組む事業だと考えています。地域の活性化に関しては、お祭り、地域特産物品の開発・販売、地域情報誌の発行などの事業があります。地域問題の解決については、フリースクール、コミュニティレストラン、ニートや引きこもり等の就労支援、外国人向けのサービスなど、多様な事業が展開されています。
また、その意義として、多様な雇用やいきがいの創出、地域の自立の支援、行政ができないサービスの提供、アウトソーシングによる行政改革の推進などがあげられます。
関川 実際に、おおさか元気ネットワークや宝塚NPOセンターでは、どのような活動を行っているのか、お聞きかせください。
森 おおさか元気ネットワーク(以下、OGN)は、自らが地域のなかで直接活動するのではなく、さまざまな分野でコミュニティ・ビジネスを起業しようとしている人たちや、具体的な活動しているNPOを支援しています。いわゆる中間支援団体と呼ばれるものですが、8人いる理事すべてが地域のなかで直接事業を展開している社会起業家で、子育て支援、高齢者や障害のある人の生活支援、まちづくりなど、それぞれの専門分野をもっています。そのため、コミュニティ・ビジネスの起業をめざそうとする人たちに対して、それぞれの分野ごとに専門的な支援ができる体制になっているのが、1つの特徴といえます。
2003年から発足し、最初の2年間は大阪府から助成金(年1000万円)を得て活動を展開し、2005年にNPO法人格を取得し、現在に至っています。
関川 森さんは、OGNの副理事長に就任されていますが、個人のお立場でOGNに参画しているのですか。
森 いいえ。宝塚NPOセンターとして活動に参画しています。
関川 大阪府という行政エリアで、大阪府が助成し支援しているNPOに、兵庫県宝塚市のNPOが参画するということには違和感はありませんか。
森 宝塚NPOセンターは、宝塚市や兵庫県だけでなく全国のNPOへの支援を事業として位置づけていますので、行政エリアを超えて活動することにまったく違和感はありません。また、現在では、中間支援団体を支援する活動を行っていますので、今では、名前に「宝塚」がついているというのは、その地で誕生したNPOというようにとらえています。
関川 実際に、OGNや宝塚NPOセンターでコミュニティ・ビジネスの起業を支援されているわけですが、どのような分野での起業が増えているのですか。
森 最近では、スポーツ系の分野での起業が増えています。なかでも、テニスやサッカーを指導するリーダーの育成を目的とした起業が多くなっています。また、子育て支援を目的としているところも増えています。一方で、福祉系の起業に関する相談件数は少なくなってきています。
関川 福祉コミュニティ・ビジネスは、どのような現状にあるのでしょうか。
森 宝塚NPOセンターを設立した当初は、子育て支援活動や障害のある人の生活支援などを行っているボランティア団体がNPO法人化するという動きが目立ちました。その後、地域団体が指定管理者となるためにNPO法人を取得することが増え、最近では、まちづくり協議会がコミュニティ・ビジネスを展開するためにNPO法人化するという動きが増えてきています。教育委員会から委託費が出るからNPO法人格を取得するということが背景になっています。
既存の市民団体等の活動があって、その後、法人格を取得し、指定管理者となり、委託費を得て、コミュニティ・ビジネスとして展開していくという流れができつつあると感じています。
関川 福祉分野に限らず、どのような人たちがコミュニティ・ビジネスを起業しようとしているのですか。
森 40歳代以降の女性が多いですね。また、女性が起業するほうが継続することが多いようです。
関川 なぜ、女性のほうが長続きするのでしょうか。
森 一概にはいえませんが、男性の場合は、組織をつくることに力を入れすぎるのだと思います。継続的な活動を展開するうえで、組織をつくることは大事なことですが、男性の場合は上下関係の組織になりがちなのです。
宝塚NPOセンターも、OGNも、皆が並列の関係なかで、それぞれの専門性やもっている能力を発揮しており、ピラミッドのような組織にはなっていません。
ピラミッド型の組織をつくり、指示や命令をするだけの中間管理職をおくことは、コミュニティ・ビジネスにおいて、効果的・効率的ではないのです。中間管理職がいないから、低コストですむという側面もあります。
関川 若い人たちとの関わりはないのですか。
森 宝塚NPOセンターには20歳代のスタッフはいないのですが、年間20~30人もの大学生がインターンシップで来ています。非常に熱心で、中間支援団体で働きたいという意欲をもっている学生さんが多いです。
また、大企業を2、3年で退職して、専門能力をNPOに提供してくれている若者もいます。今後は、大企業のなかにいるよりも、自分たちのやりたいことができるコミュニティ・ビジネスを望む若者が増えていくのではないでしょうか。
◆ 団塊の世代は地域で活躍できるか
関川 男性の場合、コミュニティ・ビジネスを継続的に展開していくことが難しいというお話がありましたが、団塊の世代の男性がコミュニティ・ビジネスを起業する際には、どのような点に留意する必要があるでしょうか。
森 私は、むしろ、60歳を過ぎて、コミュニティ・ビジネスを起業しようと思う人が、果たしてどれくらいいるのだろうかと思っています。起業のリスクを冒すより、既存のコミュニティ・ビジネスで働きたいという人のほうが多いのではないでしょうか。
そうした場合、やはり、企業にいた時のやり方だけにこだわる人は、成功しないと思います。特に、大企業のなかで高い地位にあった人は、責任者の指示は絶対で、上下の関係のなかで仕事をしようとする傾向が強いようです。
宝塚NPOセンターにも定年退職後にボランティアとして協力してくださっている男性がいるのですが、この方は、余計な口出しはせず、ゴミ出しなどの雑用も嫌な顔をせずにやってくれます。もう10年以上も続けていただいて、本当に感謝しています。
◆福祉コミュニティ・ビジネスの育成・振興に必要な視点
関川 いろいろな自治体の福祉計画づくりに参画させていただくなかで感じることは、特に地域福祉計画のなかに「福祉コミュニティ・ビジネスの振興」という項目が盛り込まれることが増えている一方で、具体的に何をするのかがみえてこないということです。
先ほど、自然発生的な市民活動から指定管理者となり、委託費を得るためにNPO法人格を取得し、コミュニティ・ビジネスとして形成されるというお話がありましたが、自治体あるいは社会福祉協議会では、どのような支援・振興に取り組むべきでしょうか。
森 福祉分野では、当事者組織や親の会、住民団体など、既存の活動が多く、しかも結構大きな金額を扱っているところが少なくありません。私は、それならば、きちんと法人化したほうがいいのではないかと思うのです。
障害のある人の親の会では、親亡き後の心配は非常に深刻な問題ですが、それならば、組織として継続的に障害のある人を支援していく体制を自らつくればいいと思うのです。親が自ら起業して障害のある子どもを雇用することも、コミュニティ・ビジネスとして展開していけば可能なのです。
また、障害のある人自身が起業することもできるのです。実際、精神障害の分野で、私たちが支援して当事者が起業し成功している例もあります。
外からみれば、単に今まであった活動を組織化し、法人化するだけかもしれませんが、そこに関わる人たちの生き方が変わっていくのです。
法人化するという意義を理解し、コミュニティ・ビジネスの起業家として育っていくプロセスを支えるという視点が、福祉コミュニティ・ビジネスの育成・振興に必要だと思います。
実際に、障害のある人が自ら起業すると、それまであった被害意識が、「自分たちの手で、皆が住みやすいまちをつくっていくんだ」という考えに転換していくのです。
関川 障害のある人が自ら起業することは大変な場合もあるでしょうか、共同経営者として活動に参画し報酬を得ることで、参加と自立を実現する道も考えられますね。
森 逆に、当事者がはじめたコミュニティ・ビジネスに市民が参加することで、相互の理解が深まったり、活動の幅が広がったりという例もあります。
関川 コミュニティ・ビジネスとは、これまで福祉分野の外にいた人たちが参入してくる方法であるという受け止め方がされている向きもあるように感じますが、そうではなく、これまでの活動を発展させるための手法として考えるべきなのですね。
◆ 今後のOGNの展望
関川 これからのOGNの展望についてお聞かせください。
森 現状では財源の確保が難しく、事務局経費を捻出できず、OGNのメンバーである「寝屋川あいの会」に事務局をおいてもらっている状況です。継続的な活動を展開していくためには事務局体制を確立する必要があります。やはり、大阪市内に事務局をおいて、専従スタッフを雇用し、仕事の量を増やし、いつ誰が相談に来られても対応できる体制をとることが必要だと思います。
仕事の量を増やすといっても、事業や規模を拡大するということではありません。小さな組織でも地域に根づいた活動を展開できる起業家をたくさん育てていきたいと思っています。そのようなコミュニティ・ビジネスを配下に収めるのではなく、OGNとしてネットワークを広げていくことが、中間支援団体として必要な視点であると考えています。
◆福祉サービス事業者と福祉コミュニティ・ビジネス
関川 福祉コミュニティ・ビジネスの起業者は、社会福祉法人などの既存の福祉サービス事業者をどのようにみているのでしょうか。
森 福祉施設を退職してコミュニティ・ビジネスの分野に来る人も増えています。福祉施設の場合は、どんなに規模が小さくても、一般のコミュニティ・ビジネスよりは組織も大きく、コストもかかるわけで、経営する側と現場の考えることに矛盾が生じ、苦労している人も多いと思います。
コミュニティ・ビジネスの場合は、赤字さえ出さなければ、収益よりもいきがいややりがいを重視する活動なので、その違いは大きいと思います。福祉施設では、量も質も厳しい仕事を前にして、5年前後でやめていく若い人が多く、管理職が多くの苦労を抱え込んでいるのが実情ではないでしょうか。そのようなことから、コミュニティ・ビジネスを志向する管理職層が増えているのだと受け止めています。
関川 そのような意味では、人材の部分では、すでに福祉施設とコミュニティ・ビジネスはつながってきているということですね。
森 そうだと思います。私からみると、多くの社会福祉法人は企業だととらえています。借金して資金を投下し、規模を大きくしようと考えすぎているのではないと感じてしまいます。
コミュニティ・ビジネスでは、自分のやりたいこと以外に組織や規模を大きくすることはありません。必要があれば、ネットワークをつくって対応すればいいと考えていますので、自分が大きくならなくても、必要なパートナーとくっつけばいいだけです。だから、競争相手も存在しません。
関川 社会福祉法人も企業化しているところだけでなく、規模が小さく、生き残りの不安を抱えながら苦労しているところもあります。
森 規模が小さくて苦労するということではなくて、「地域に必要とされているかどうか」ということだと思います。必要がなくなったら、やめればいいと思います。その覚悟さえあればいいのではないのでしょうか。
関川 自分たちがやめてしまったら、困る人がいるというのであれば、その人たちのために、あらかじめ、NPOやコミュニティ・ビジネスといったパートナーとネットワークをつくっておくということも考えておく必要があるということですね。
本日は、ありがとうございました。
2011年10月9日日曜日
2011年10月4日火曜日
社会福祉法人のコンプライアンスと監事の役割
社会福祉法人の監査に立会い
昨日は、私が監事をしている社会福祉法人の行政監査がありました。私も、監事として、法人運営および処遇全般に及ぶ監査に立会いました。自治体職員四人がかりで、丸一日丁寧に文書・記録と突き合わせながら、園長や職員に聞き取っていました。これをみて、あらためて社会福祉法人の公共性を裏付けとなる監査の大切さを実感しました。
私は、主として処遇面の監査に立ち会いました。監査の主たる対象は、安全管理と保健・衛生にあるように感じました。もちろん、保育課程、計画・月案・週案、日案についても、園長に趣旨や記述内容について尋ねておりました。しかし、3.11後、初めての監査です。そのためか、防災体制について、記録などの確認が念入りに行われました。
監査担当者の監査後の講評にも「なるほど」とうなずくものがありました。たとえば、「避難訓練は、土曜日や夕方など職員が少ない時にも実施してください」との助言があり、監事としても「もっとも、そのとおり」と気づかされました。
こうした指摘は、最低基準に関わるものではありません。しかし、「こうした時間であったから、保育士が少なく、子どもの命を守れませんでした」では済まされません。監事の立場からも、避難訓練についても、安全確保の徹底を求めたい。こうした助言を受け止めながら、監査担当の自治体職員と社会福祉法人の協働作業により、社会福祉法人に対する信頼を担保するのが、行政監査であると感じました。
監事はコンプライアンスのかなめ
社会福祉法人の公正かつ健全な経営にとって、コンプライアンスの体制づくりは極めて大切です。理事会も、事業経営を進める上で、法令遵守を第一に考える必要があります。評議員会も、理事会の判断や決定が適正なものかチェックする立場にあります。
これとともに、監事の役割は、理事の業務執行の状況および法人財産の状況に対する監査、定期的な監査報告書の作成および理事会、所轄庁への報告などを行います。しかし、監事は、コンプライアンスを徹底させるには、決算報告前の監事監査、法人監査・施設監査への立会いのにならず、日ごろから監事業務にあたる必要があります。監事は、コンプライアンスのかなめと考えています。
定期監査の実施 サービス向上の取り組みに注目
たとえば、日ごろから定期的に事業内容の監査をし、行政の監査では把握しない部分も知る必要があるように思います。私の関わる法人では、監事による定期監査を実施することになりました。こうした監事の活動については、理事会に諮り、諸規定の整備もしています。法人のコンプライアンス規定も作成しました。
定期監査は、11月に予定しておりますが、施設の運営管理、福祉サービス向上の取り組みを見てこようと思います。法人の掲げる福祉の理念を形骸化させないことも、公正かつ健全な法人経営にとって大切と考えるからです。
昨日は、私が監事をしている社会福祉法人の行政監査がありました。私も、監事として、法人運営および処遇全般に及ぶ監査に立会いました。自治体職員四人がかりで、丸一日丁寧に文書・記録と突き合わせながら、園長や職員に聞き取っていました。これをみて、あらためて社会福祉法人の公共性を裏付けとなる監査の大切さを実感しました。
私は、主として処遇面の監査に立ち会いました。監査の主たる対象は、安全管理と保健・衛生にあるように感じました。もちろん、保育課程、計画・月案・週案、日案についても、園長に趣旨や記述内容について尋ねておりました。しかし、3.11後、初めての監査です。そのためか、防災体制について、記録などの確認が念入りに行われました。
監査担当者の監査後の講評にも「なるほど」とうなずくものがありました。たとえば、「避難訓練は、土曜日や夕方など職員が少ない時にも実施してください」との助言があり、監事としても「もっとも、そのとおり」と気づかされました。
こうした指摘は、最低基準に関わるものではありません。しかし、「こうした時間であったから、保育士が少なく、子どもの命を守れませんでした」では済まされません。監事の立場からも、避難訓練についても、安全確保の徹底を求めたい。こうした助言を受け止めながら、監査担当の自治体職員と社会福祉法人の協働作業により、社会福祉法人に対する信頼を担保するのが、行政監査であると感じました。
監事はコンプライアンスのかなめ
社会福祉法人の公正かつ健全な経営にとって、コンプライアンスの体制づくりは極めて大切です。理事会も、事業経営を進める上で、法令遵守を第一に考える必要があります。評議員会も、理事会の判断や決定が適正なものかチェックする立場にあります。
これとともに、監事の役割は、理事の業務執行の状況および法人財産の状況に対する監査、定期的な監査報告書の作成および理事会、所轄庁への報告などを行います。しかし、監事は、コンプライアンスを徹底させるには、決算報告前の監事監査、法人監査・施設監査への立会いのにならず、日ごろから監事業務にあたる必要があります。監事は、コンプライアンスのかなめと考えています。
定期監査の実施 サービス向上の取り組みに注目
たとえば、日ごろから定期的に事業内容の監査をし、行政の監査では把握しない部分も知る必要があるように思います。私の関わる法人では、監事による定期監査を実施することになりました。こうした監事の活動については、理事会に諮り、諸規定の整備もしています。法人のコンプライアンス規定も作成しました。
定期監査は、11月に予定しておりますが、施設の運営管理、福祉サービス向上の取り組みを見てこようと思います。法人の掲げる福祉の理念を形骸化させないことも、公正かつ健全な法人経営にとって大切と考えるからです。
2011年9月30日金曜日
子ども・子育て新システムと保育士の処遇改善
昨日、私立保育連盟近畿ブロック役員会議があり、厚生労働省児童家庭局保育課長との意見交換会に出席してきました。兵庫県保育協会の理事として、参加しました。既にまとめられている子ども・子育て新システム「中間とりまとめ」をもとに、意見交換がされました。
大阪府立大学も、大坂社会事業短期大学の時代から、保育士の養成に取り組んできました。養成校の立場からしますと、民間保育園の保育士の給与が低いことが問題であると考えています。保育士の資格をとる学生の多くは、自治体の福祉職であるワーカーや公立保育所の保育士を選択します。長期にわたり安心して雇用継続でき、給与も上がる仕組みが魅力的だからです。
現行の保育指針がもとめる保育士の専門性を考えると、新システムのもとでも民間保育園の保育士の給与引き上げなど保育士の処遇改善、キャリアアップの仕組みづくりの検討が大切です。こうした観点から、保育単価の見直しが望まれます。
保育課長からは、新システムの実施にかかる追加の経費、新たに必要な財源が1兆円。このうち待機児童の解消など、量的整備に係る財源が4000億円、質的改善に係る経費が6000億円見込まれている。この財源をもって、保育の質の向上の立場から、保育士の処遇改善に取り組んでいきたいとの説明がありました。
制度改革についても、ピンチと受け止めず、長年の課題を解決するチャンスとみることができるかも知れません。
もっとも、1兆円の財源は、社会保障・税一体改革のもとで確保されるものと位置づけられています。新システムの実施も、税制抜本改革にかかっています。政府が消費税引き上げなど増税に踏み込めるかと考えますと、まだ紆余曲折がありそうです。やっぱり、消費税ひきあげかなぁ・・・・・。
大阪府立大学も、大坂社会事業短期大学の時代から、保育士の養成に取り組んできました。養成校の立場からしますと、民間保育園の保育士の給与が低いことが問題であると考えています。保育士の資格をとる学生の多くは、自治体の福祉職であるワーカーや公立保育所の保育士を選択します。長期にわたり安心して雇用継続でき、給与も上がる仕組みが魅力的だからです。
現行の保育指針がもとめる保育士の専門性を考えると、新システムのもとでも民間保育園の保育士の給与引き上げなど保育士の処遇改善、キャリアアップの仕組みづくりの検討が大切です。こうした観点から、保育単価の見直しが望まれます。
保育課長からは、新システムの実施にかかる追加の経費、新たに必要な財源が1兆円。このうち待機児童の解消など、量的整備に係る財源が4000億円、質的改善に係る経費が6000億円見込まれている。この財源をもって、保育の質の向上の立場から、保育士の処遇改善に取り組んでいきたいとの説明がありました。
制度改革についても、ピンチと受け止めず、長年の課題を解決するチャンスとみることができるかも知れません。
もっとも、1兆円の財源は、社会保障・税一体改革のもとで確保されるものと位置づけられています。新システムの実施も、税制抜本改革にかかっています。政府が消費税引き上げなど増税に踏み込めるかと考えますと、まだ紆余曲折がありそうです。やっぱり、消費税ひきあげかなぁ・・・・・。
2011年9月28日水曜日
介護マンパワーの確保と定着
介護マンパワーの確保
兵庫県老人福祉事業協会では、23年度「介護マンパワーの確保と定着率に関する調査」を実施しました。会員施設に対し、アンケート調査を実施し、回収された調査結果を分析しているところです。私も、老人福祉事業協会の理事として、この調査に関わっています。
介護マンパワーの確保についての調査は、既に幾つかの組織や調査機関により、実施されています。しかし、介護マンパワー確保の問題は、介護保険の運営に関わる重大な問題です。事業者団体としても、現在の問題状況と問題解決に向けた取り組みを、エビデンスをもって説明する社会的責任があると思います。
マンパワーの確保には、地域特性
マスコミを通じて、介護職員を確保するのがきわめて難しい状況が紹介されますが、マンパワーの確保の難しさや採用後の定着率は、地域によってかなり違いがあることがわかりました。たとえば、阪神ブロックと但馬ブロックを比較すると、但馬ブロックは、職員の平均勤続年数も9.4年と比較的長いことが明らかになりました。これに対して、阪神ブロックでは、職員の平均勤続年数が6.2年と短いことがわかりました。一年間に定年以外の理由から退職した正規職員の人数についても、但馬ブロックが3.1人であるのに対し、阪神ブロックでは9.1人でありました。都市部において、介護マンパワーの確保が重要な経営課題となっています。
給与体系 公務員給与に準拠が2割
社会福祉法人の給与は、措置制度の時代には、行政の指導もあり、公務員に準拠する方式をとってきました。規制緩和によって、人事考課制度や能力給制度などを取り入れるなど、給与制度の見直しに着手した法人も少なくありません。しかしながら、介護の仕事は、給与が低いイメージが広がっている現在では、「介護は、地方公務員並みの給与が保証されている仕事である」という説明ができた方が、将来のマンパワーの確保につながると考えます。こうした立場からも、介護報酬のあり方についても、公務員の給与水準を踏まえたものとするべきと考えています。今回の調査では、18.9%の施設が公務員に準ずる給与体系をとっていると回答がありました。
短大専門学校卒業で平均給与初任給月額16万8千円
介護職の初任給は、短大・専門学校卒で、平均16万8千円、大卒で17万8千円でした。また、介護職全体の平均賃金は、月額22万1千円でした。確かに、初任給は決して低額ではありませんが、平均給与が低いように思われます。これは、平均勤続年数が短いことが、影響しているものと思います。介護職の仕事も、具体的にキャリアパスを示し、公務員並みに定着し勤続年数が伸びると、それに応じて給与が上がる魅力的な仕事にしていく必要があると思います。真面目に仕事に励むと、公務員並みの生活ができる給与水準であるべきです。
処遇改善費交付金の利用は89.4%
介護職の給与改善の目的から、処遇改善費交付金制度が創設されました。こうした制度を利用し、職員の給与を改善した施設が、89.4%ありました。これに対して、8.8%の施設が申請していなかったのは残念なことです。事業者としては、将来のマンパワーの確保という立場から、介護職員の処遇改善に熱心であるべきです。労働条件の改善を中心とした魅力的な職場づくりに努力していることを、利用者や地域住民からもわかってもらう必要があります。
兵庫県老人福祉事業協会では、23年度「介護マンパワーの確保と定着率に関する調査」を実施しました。会員施設に対し、アンケート調査を実施し、回収された調査結果を分析しているところです。私も、老人福祉事業協会の理事として、この調査に関わっています。
介護マンパワーの確保についての調査は、既に幾つかの組織や調査機関により、実施されています。しかし、介護マンパワー確保の問題は、介護保険の運営に関わる重大な問題です。事業者団体としても、現在の問題状況と問題解決に向けた取り組みを、エビデンスをもって説明する社会的責任があると思います。
マンパワーの確保には、地域特性
マスコミを通じて、介護職員を確保するのがきわめて難しい状況が紹介されますが、マンパワーの確保の難しさや採用後の定着率は、地域によってかなり違いがあることがわかりました。たとえば、阪神ブロックと但馬ブロックを比較すると、但馬ブロックは、職員の平均勤続年数も9.4年と比較的長いことが明らかになりました。これに対して、阪神ブロックでは、職員の平均勤続年数が6.2年と短いことがわかりました。一年間に定年以外の理由から退職した正規職員の人数についても、但馬ブロックが3.1人であるのに対し、阪神ブロックでは9.1人でありました。都市部において、介護マンパワーの確保が重要な経営課題となっています。
給与体系 公務員給与に準拠が2割
社会福祉法人の給与は、措置制度の時代には、行政の指導もあり、公務員に準拠する方式をとってきました。規制緩和によって、人事考課制度や能力給制度などを取り入れるなど、給与制度の見直しに着手した法人も少なくありません。しかしながら、介護の仕事は、給与が低いイメージが広がっている現在では、「介護は、地方公務員並みの給与が保証されている仕事である」という説明ができた方が、将来のマンパワーの確保につながると考えます。こうした立場からも、介護報酬のあり方についても、公務員の給与水準を踏まえたものとするべきと考えています。今回の調査では、18.9%の施設が公務員に準ずる給与体系をとっていると回答がありました。
短大専門学校卒業で平均給与初任給月額16万8千円
介護職の初任給は、短大・専門学校卒で、平均16万8千円、大卒で17万8千円でした。また、介護職全体の平均賃金は、月額22万1千円でした。確かに、初任給は決して低額ではありませんが、平均給与が低いように思われます。これは、平均勤続年数が短いことが、影響しているものと思います。介護職の仕事も、具体的にキャリアパスを示し、公務員並みに定着し勤続年数が伸びると、それに応じて給与が上がる魅力的な仕事にしていく必要があると思います。真面目に仕事に励むと、公務員並みの生活ができる給与水準であるべきです。
処遇改善費交付金の利用は89.4%
介護職の給与改善の目的から、処遇改善費交付金制度が創設されました。こうした制度を利用し、職員の給与を改善した施設が、89.4%ありました。これに対して、8.8%の施設が申請していなかったのは残念なことです。事業者としては、将来のマンパワーの確保という立場から、介護職員の処遇改善に熱心であるべきです。労働条件の改善を中心とした魅力的な職場づくりに努力していることを、利用者や地域住民からもわかってもらう必要があります。
2011年9月21日水曜日
社会福祉法人と新しい公共との関連
全国経営協、会報「経営協」4月号特集「アクションプラン2015に込めたもの」で、座談会に出席した時の関川の発言部分を紹介します。
「新しい公共」のなかで社会福祉法人が求められるもの
【櫛田】非営利法人であるNPO法人が、「新しい公共」の担い手として期待されています。このことを社会福祉法人はしっかり受けとめなければいけない。こうしたNPO法人に関しては、関川さんの受けとめはいかがですか。
【関川】「新しい公共」の議論があり、福祉分野でもNPO法人が身近な存在となっています。社会福祉法人が、同じ非営利組織であるNPO法人に対してどのようなスタンスを取るべきかが問われているように思われます。NPO法人の活動が脚光を浴びる一方であるから、社会福祉法人の一部にNPO法人脅威論があるのかもしれません。しかし、全体としてみれば、地域の福祉課題に関わるパートナーとして、NPO法人をとらえればいいと考えています。社会福祉法人が、NPO法人を支援する立場に立つ、地域のネットワークづくりをバックアップする、活動の相談役になるなどの役割を果たすことが社会福祉法人に求められていると思います。
このような行動を通じて、社会福祉法人自体が、「新しい公共」のなかで一定の存在意義を発揮することが必要なのではないかと考えます。
【武居】社会福祉法人の存在は、「新しい公共」のなかで当然位置づけられるべきだと思いますが、実はある機会にお話をうかがって心に響いたのは、「NPOとのイコールフッティングを」という関川さんの言葉でした。社会福祉法人の歩みを振り返ると、当初はNPO法人と同じように活動をはじめ、しだいに制度化し社会的な地位を築きあげて、今日があるわけです。その過程で、社会福祉法人が忘れてきたこともある。そのあたりを表したのでしょうか。
【関川】私は、NPO法人の側から社会福祉法人にイコールフッティングを求めてくるだろうと思っています。ともに非営利法人同士が、介護、障害、保育分野などで同じ事業を行っています。ところが法人税をみると、NPO法人は課税、社会福祉法人は非課税です。社会福祉法人は利益が出た場合、その使途を明確に説明できるのだろうか、という疑問があります。
仮に、NPO法人が、介護事業において、1,000万円の利益が出た場合、300万円納税して、700万円が手元に残るわけです。NPO法人の立場からみれば、非課税の社会福祉法人は、非課税相当分の300万円を社会のために使っているのだろうか、と考えるでしょう。あるいは、同じ介護事業しながら、社会福祉法人は税を納めず、1000万円残すことができる。同じ非営利組織でありながら、これは不公平ではないか、と考えるに違いありません。また、国民は、社会福祉法人は介護事業で利益率10%をあげていると聞くと、「ずいぶん儲けているのだなぁ」と思うかもしれません。社会福祉法人は、市民活動やNPO法人から求められるイコールフッティングに耐えられるだけのアカウンタビリティーを徹底し、正しい理解を得ていく必要があるのです。
【浦野】社会福祉法人は長期的な財務計画を自分たちで考えるトレーニングをしてきていない。そればかりか、決算をしてみたら剰余金が予想を超えていた、という例はいくらでもあります。経営感覚、経営能力の未熟さゆえに、例えば介護事業で剰余金が出ると、数字がひとり歩きしてしまうなどがいい例で、社会の誤解を招きかねない。
「アクションプラン2015」のめざすもの
【武居】かつてのアクションプランの方向性は間違ってはいなかったが、契約制度などに対応するには中途半端でした。例えば、成年後見制度に十分対応できるものであったとはいえません。また、剰余金を「とりあえず残しておく」というような、経営面での未熟さがあります。
そうした現時点の環境から、将来へ向けて新たな一歩を踏み出すための行動指針となるのが、今回の「アクションプラン2015」だと考えていいと思います。
【関川】ところで、「アクションプラン2015」は、前プランより詳しく書かれていますが、目新しさは感じられません。これを読まれる社会福祉法人や関係者は、両プランを比較しても違いが実感できないのではないでしょうか。
それと同時に、「新・アクションプラン21」によっても社会福祉法人の公共性が国民に届いていないのであれば、そのことを今後5年間の戦略としてどう考えるかが課題だと思います。
【武居】新しさの匂いが感じられない点はどこでしょうか。
【関川】全体から受ける印象が同じであると思いました。ただ、こうしたものは、大切なことを省けないため、抽象的かつ幅広にならざるを得ません。そして、ここに挙げる経営をすべて忠実に実践すれば、非効率的で利益が残らないものです。
「そもそも社会福祉法人の経営はそうしたものだ」というメッセージを示せれば、イメージは大きく変わったのかもしれません。
【平田】非営利性の意味は、事業で得たすべての金銭的成果は、社会福祉事業に充てるか、地域の生活課題や福祉需要に還元する、とされていることに象徴されます。その非営利性を、これまで社会福祉法人経営者が認識していたか否かが問題だと思います。これを極論すれば、「利益をゼロにすることが非営利性だ」となります。
【浦野】経営原則に立ち返ると、提供サービスに対して、そもそも原価程度の金額しか支払われていない。そのうえに、利用者の居住環境をよくする、利用者個々のニーズに沿ったケアを行う、地域福祉ニーズに応える、職員の労働条件を改善するなどを実践するとマイナス経営になりますね。それでも社会福祉法人は取り組むのです。
【櫛田】社会福祉法人が公共性をもつ法人だ、というメッセージが国民へ届いているか否かは疑問です。では、会員の社会福祉法人には届いているのか。その分析を武居さんにお願いします。
【武居】アクションプランができたときは目新しく、会員は意識していたと思います。中期行動計画をベースにして、それぞれの会員自身で行動計画をつくるべきですが、そこまで浸透し到達したとは残念ながらいえないと思います。
ですから、今後の5年間に向けて、「アクションプラン2015」を参考に、それぞれの法人自身が行動計画を作成し、実践していくことが大事だと考えます。
【浦野】「アクションプラン2015」に述べられていることは、すでに実践しているから当たり前のことと会員法人が受けとめているなら、策定委員側の理解が不足していたことになる。しかし、聞き飽きたと思うレベルのものが並んでいても、実践していない社会福祉法人があるから問題なのです。
【関川】取り組み課題としては、耳慣れたものだとしても、実践を評価するチェックリストとして使用するには十分意味があると思います。例えば、経営面の問題もありますが、地域福祉の推進、公益的取り組みの課題はこれまで、いわれているほどは実践されていないといえます。
今後5年間で、ここに示された取り組み課題ぐらいは実践しないと、社会福祉法人は国民から信頼されない。つまり、「アクションプラン2015」は「理念」から「実践」へのステップととらえることができるでしょう。そして、2015年時点では取り組み課題の実践評価にすべてチェックが入るようにしなければいけないと考えます。
複数主体で取り組む公益的取り組み
【浦野】関川さんのご発言にもあった、公益的な取り組み、地域福祉の推進は非常に重要だと思っています。これまで全国経営協は、何年にもわたって「1法人1実践」活動を、と公益的な取り組みを呼びかけ、実践事例もそれなりに報告されています。しかし、社会に対する訴求力としては、いまひとつ弱い。それはなぜか。「1法人1実践」活動の推進は、取り組みの入口としてはよいのですが、1法人の「点」としての活動にとどまっているからだと思います。つまり経営に「地域」をとらえる視点が入りきっていない。そこで、地域の複数法人が連合して実践する、社会福祉法人以外など事業主体横断で連携するなど、「面」的な広がりを強めた活動をさらにすすめてもらいたい。事例は何千とあり、社会福祉法人だからできたと評価していますが、その多くは「点と線」での実践であった。今後は、個別ニーズだけでなく地域社会全体を視野に入れた、「面の広がり」をもった公益的な取り組みの強化が重要です。
【関川】今は、1法人1実践活動の振り返りの時期にあると思います。1法人1実践活動が始まった当時は、私は、社会福祉法人のさまざまな実践をPRしよう、といいました。しかし、その実践が地域住民にとって、価値をもつものと評価されているか検証してこなかった。本当に地域の人たちが求めているものなのか、特定の対象のニーズには応えていても、地域全体の福祉課題にマッチングしていたのか。ソーシャルマーケティングからみた場合、より必要な事柄があったのではないか。そうした検証をしてはいかがでしょう。
それと、1法人1実践活動をみると、単独法人の取り組みだけでは、取り組める事業にも限界があります。制度のはざまにある地域の福祉ニーズに対し、複数組織で取り組むことが望ましいと思います。たとえば、大阪府社協老人施設部会が取り組む社会貢献事業のように、制度外の事業の仕組みづくりには、複数法人での協力が実現への近道です。これは、今後の地域福祉の推進や公益的取り組みのモデルだと思います。
「行動指針」でも、「地域福祉の推進」には、多様な関係機関、組織、個人との連携・協働を主導、と掲げられています。「公益的取り組みの推進」には、新たな福祉需要への対応、地域における多様な生活課題への取り組みを挙げています。
こうした対応の一つの方法として、「新しい公共」に対する助成事業のなかで「マルチ・ステークホルダー・プロセス」という考え方が示されています。これは、多様な担い手(マルチ・ステイク・ホルダー)が協働して、自らの地域の課題解決にあたるプロセスづくりに対し助成しようというものです。社会福祉法人も、NPO法人、ボランティア、地域住民、自治組織などが集まる場をつくり、虐待やDV、認知症高齢者の徘徊などの問題に対処する話し合いを話し合う。個々の利害関係者をつなぎ、課題解決に向けた場づくりをすることが、地域における社会福祉法人の役割になるのではないでしょうか。そこで議論された支援方法について、ヒト・モノ・カネの工面を相談する。必要な人員を配置する、場所を提供する、資金提供をするなどの役割を果たす。そうした支援体制を整えたうえで、行政との連携や補助金の申請などを働きかける。「新しい公共」というと、NPO法人への期待が大きく打ち出されていますが、同じ非営利法人である社会福祉法人も、まちづくりに貢献するために、積極的に手を挙げるべきです。それによって、地域において「新しい公共」のセンターとして社会福祉法人が存在を示すことができます。多様な主体と仲間づくりをして、地域の課題解決の道筋をつくっていく取り組みが必要だと思います。
今回の「行動指針」をいくつか重ねて読み合わせると、地域の福祉課題に主体的に取り組む役割を社会福祉法人に期待している、と読み取ることができます。
【武居】社会福祉法人は、施設と地域、施設と在宅という意識が従来からありましたが、この発想を変えなければいけないと思います。また、地域福祉に関しては、社協に遠慮する向きもありました。
【関川】地域の新しい課題解決への動きは、行政も社協も遅い。あくまで私見ですが、NPO法人も、フットワークが軽いが、概して組織力に課題がある。あるいは、情熱的であるが、システムやプロセスづくりは苦手のようにみえます。そうだとすれば、ここに社会福祉法人が果たす役割があります。さらには、皆さんがその役割を担うことで社協の活性化にもつながると思います。
社協が資金を入手する先は、主に地方公共団体や厚生労働省ですが、社会福祉法人がそれ以外のところから補助金を得て、地域福祉ニーズに応える仕組みをつくる役割を果たすことで、社協の活性化が可能となる。社会福祉法人が、社協とNPO法人とをつなぎ、コーディネートすることで円滑になると思いますし、地域での社会福祉法人の役割が外部からも見えやすくなると思います。
【櫛田】この場合は、社協、NPO法人、社会福祉法人、地方公共団体とのコラボレーションですね。ここでの社会福祉法人の役割は何でしょうか。
【関川】社会福祉法人の担うパートはディレクターです。舞台裏で全体を統制していく役割だといえます。
【浦野】反省させられるのは、これまでは社会福祉法人と地域の社協の関係がよそよしい状態にあったことです。またNPO法人には、妙な敵愾心を抱いている。そんなことに囚われている場合ではありませんね。むしろ、それらの事業主体と相補的な関係を築く必要があります。
これまで、社会福祉法人は零細企業だといってきましたが、片やNPO法人には巨大企業として映る。社会福祉法人には、事務能力やサービスのノウハウも豊富にあります。そうした分野で、NPO法人を支援する、また一緒に取り組んでいくことができる。自らの強みを評価し、活用すべきです。
「アクションプラン2015」推進へ期待すること
【櫛田】最後に、関川さんから「アクションプラン2015」へ期待することをお聞かせください。
【関川】重要なのは「行動指針」14の「ガバナンスの確立」だと思います。社会福祉法人として何を考え、どう行動するかが現在問われているわけで、それを決定・実行できるのは経営組織です。経営資源は限られているなかで、「アクションプラン2015」に示された役割に近づける舵取りができるか、というのがガバナンスだと思います。
株式会社であれば、株主利益に応える経営を忠実かつ公正にしているかが、ガバナンスが求められるポイントであると思います。これに対し、社会福祉法人のガバナンスは、利用者家族、地域住民の利益に応える経営を忠実かつ公正にしているかが問われるべきです。こうした組織の意思決定や手続きの在り方が公正である必要があります。
要するに、ガバナンスにおいて問われるのは、組織統治の結果であり、経営内容です。「行動指針」1~13までを実践していく経営戦略が必要です。各法人の理事会で、「アクションプラン2015」を参考に、今後5年間の中期計画を練り直していただきたい。同時に、それを参考にチェックリストを作成し、実践できたか否かを毎年理事会で議論してほしい。
「アクションプラン2015」は、社会福祉法人の存在意義を高めるために重要なものだと思います。それぞれの法人が、このプランに基づいて実践していただきたいと思います。
【櫛田】私たちは「社会福祉法人発展・強化プロジェクト」の推進に加え、新たな「アクションプラン2015」をベースにした取り組みを促進していきたいと思います。
「新しい公共」のなかで社会福祉法人が求められるもの
【櫛田】非営利法人であるNPO法人が、「新しい公共」の担い手として期待されています。このことを社会福祉法人はしっかり受けとめなければいけない。こうしたNPO法人に関しては、関川さんの受けとめはいかがですか。
【関川】「新しい公共」の議論があり、福祉分野でもNPO法人が身近な存在となっています。社会福祉法人が、同じ非営利組織であるNPO法人に対してどのようなスタンスを取るべきかが問われているように思われます。NPO法人の活動が脚光を浴びる一方であるから、社会福祉法人の一部にNPO法人脅威論があるのかもしれません。しかし、全体としてみれば、地域の福祉課題に関わるパートナーとして、NPO法人をとらえればいいと考えています。社会福祉法人が、NPO法人を支援する立場に立つ、地域のネットワークづくりをバックアップする、活動の相談役になるなどの役割を果たすことが社会福祉法人に求められていると思います。
このような行動を通じて、社会福祉法人自体が、「新しい公共」のなかで一定の存在意義を発揮することが必要なのではないかと考えます。
【武居】社会福祉法人の存在は、「新しい公共」のなかで当然位置づけられるべきだと思いますが、実はある機会にお話をうかがって心に響いたのは、「NPOとのイコールフッティングを」という関川さんの言葉でした。社会福祉法人の歩みを振り返ると、当初はNPO法人と同じように活動をはじめ、しだいに制度化し社会的な地位を築きあげて、今日があるわけです。その過程で、社会福祉法人が忘れてきたこともある。そのあたりを表したのでしょうか。
【関川】私は、NPO法人の側から社会福祉法人にイコールフッティングを求めてくるだろうと思っています。ともに非営利法人同士が、介護、障害、保育分野などで同じ事業を行っています。ところが法人税をみると、NPO法人は課税、社会福祉法人は非課税です。社会福祉法人は利益が出た場合、その使途を明確に説明できるのだろうか、という疑問があります。
仮に、NPO法人が、介護事業において、1,000万円の利益が出た場合、300万円納税して、700万円が手元に残るわけです。NPO法人の立場からみれば、非課税の社会福祉法人は、非課税相当分の300万円を社会のために使っているのだろうか、と考えるでしょう。あるいは、同じ介護事業しながら、社会福祉法人は税を納めず、1000万円残すことができる。同じ非営利組織でありながら、これは不公平ではないか、と考えるに違いありません。また、国民は、社会福祉法人は介護事業で利益率10%をあげていると聞くと、「ずいぶん儲けているのだなぁ」と思うかもしれません。社会福祉法人は、市民活動やNPO法人から求められるイコールフッティングに耐えられるだけのアカウンタビリティーを徹底し、正しい理解を得ていく必要があるのです。
【浦野】社会福祉法人は長期的な財務計画を自分たちで考えるトレーニングをしてきていない。そればかりか、決算をしてみたら剰余金が予想を超えていた、という例はいくらでもあります。経営感覚、経営能力の未熟さゆえに、例えば介護事業で剰余金が出ると、数字がひとり歩きしてしまうなどがいい例で、社会の誤解を招きかねない。
「アクションプラン2015」のめざすもの
【武居】かつてのアクションプランの方向性は間違ってはいなかったが、契約制度などに対応するには中途半端でした。例えば、成年後見制度に十分対応できるものであったとはいえません。また、剰余金を「とりあえず残しておく」というような、経営面での未熟さがあります。
そうした現時点の環境から、将来へ向けて新たな一歩を踏み出すための行動指針となるのが、今回の「アクションプラン2015」だと考えていいと思います。
【関川】ところで、「アクションプラン2015」は、前プランより詳しく書かれていますが、目新しさは感じられません。これを読まれる社会福祉法人や関係者は、両プランを比較しても違いが実感できないのではないでしょうか。
それと同時に、「新・アクションプラン21」によっても社会福祉法人の公共性が国民に届いていないのであれば、そのことを今後5年間の戦略としてどう考えるかが課題だと思います。
【武居】新しさの匂いが感じられない点はどこでしょうか。
【関川】全体から受ける印象が同じであると思いました。ただ、こうしたものは、大切なことを省けないため、抽象的かつ幅広にならざるを得ません。そして、ここに挙げる経営をすべて忠実に実践すれば、非効率的で利益が残らないものです。
「そもそも社会福祉法人の経営はそうしたものだ」というメッセージを示せれば、イメージは大きく変わったのかもしれません。
【平田】非営利性の意味は、事業で得たすべての金銭的成果は、社会福祉事業に充てるか、地域の生活課題や福祉需要に還元する、とされていることに象徴されます。その非営利性を、これまで社会福祉法人経営者が認識していたか否かが問題だと思います。これを極論すれば、「利益をゼロにすることが非営利性だ」となります。
【浦野】経営原則に立ち返ると、提供サービスに対して、そもそも原価程度の金額しか支払われていない。そのうえに、利用者の居住環境をよくする、利用者個々のニーズに沿ったケアを行う、地域福祉ニーズに応える、職員の労働条件を改善するなどを実践するとマイナス経営になりますね。それでも社会福祉法人は取り組むのです。
【櫛田】社会福祉法人が公共性をもつ法人だ、というメッセージが国民へ届いているか否かは疑問です。では、会員の社会福祉法人には届いているのか。その分析を武居さんにお願いします。
【武居】アクションプランができたときは目新しく、会員は意識していたと思います。中期行動計画をベースにして、それぞれの会員自身で行動計画をつくるべきですが、そこまで浸透し到達したとは残念ながらいえないと思います。
ですから、今後の5年間に向けて、「アクションプラン2015」を参考に、それぞれの法人自身が行動計画を作成し、実践していくことが大事だと考えます。
【浦野】「アクションプラン2015」に述べられていることは、すでに実践しているから当たり前のことと会員法人が受けとめているなら、策定委員側の理解が不足していたことになる。しかし、聞き飽きたと思うレベルのものが並んでいても、実践していない社会福祉法人があるから問題なのです。
【関川】取り組み課題としては、耳慣れたものだとしても、実践を評価するチェックリストとして使用するには十分意味があると思います。例えば、経営面の問題もありますが、地域福祉の推進、公益的取り組みの課題はこれまで、いわれているほどは実践されていないといえます。
今後5年間で、ここに示された取り組み課題ぐらいは実践しないと、社会福祉法人は国民から信頼されない。つまり、「アクションプラン2015」は「理念」から「実践」へのステップととらえることができるでしょう。そして、2015年時点では取り組み課題の実践評価にすべてチェックが入るようにしなければいけないと考えます。
複数主体で取り組む公益的取り組み
【浦野】関川さんのご発言にもあった、公益的な取り組み、地域福祉の推進は非常に重要だと思っています。これまで全国経営協は、何年にもわたって「1法人1実践」活動を、と公益的な取り組みを呼びかけ、実践事例もそれなりに報告されています。しかし、社会に対する訴求力としては、いまひとつ弱い。それはなぜか。「1法人1実践」活動の推進は、取り組みの入口としてはよいのですが、1法人の「点」としての活動にとどまっているからだと思います。つまり経営に「地域」をとらえる視点が入りきっていない。そこで、地域の複数法人が連合して実践する、社会福祉法人以外など事業主体横断で連携するなど、「面」的な広がりを強めた活動をさらにすすめてもらいたい。事例は何千とあり、社会福祉法人だからできたと評価していますが、その多くは「点と線」での実践であった。今後は、個別ニーズだけでなく地域社会全体を視野に入れた、「面の広がり」をもった公益的な取り組みの強化が重要です。
【関川】今は、1法人1実践活動の振り返りの時期にあると思います。1法人1実践活動が始まった当時は、私は、社会福祉法人のさまざまな実践をPRしよう、といいました。しかし、その実践が地域住民にとって、価値をもつものと評価されているか検証してこなかった。本当に地域の人たちが求めているものなのか、特定の対象のニーズには応えていても、地域全体の福祉課題にマッチングしていたのか。ソーシャルマーケティングからみた場合、より必要な事柄があったのではないか。そうした検証をしてはいかがでしょう。
それと、1法人1実践活動をみると、単独法人の取り組みだけでは、取り組める事業にも限界があります。制度のはざまにある地域の福祉ニーズに対し、複数組織で取り組むことが望ましいと思います。たとえば、大阪府社協老人施設部会が取り組む社会貢献事業のように、制度外の事業の仕組みづくりには、複数法人での協力が実現への近道です。これは、今後の地域福祉の推進や公益的取り組みのモデルだと思います。
「行動指針」でも、「地域福祉の推進」には、多様な関係機関、組織、個人との連携・協働を主導、と掲げられています。「公益的取り組みの推進」には、新たな福祉需要への対応、地域における多様な生活課題への取り組みを挙げています。
こうした対応の一つの方法として、「新しい公共」に対する助成事業のなかで「マルチ・ステークホルダー・プロセス」という考え方が示されています。これは、多様な担い手(マルチ・ステイク・ホルダー)が協働して、自らの地域の課題解決にあたるプロセスづくりに対し助成しようというものです。社会福祉法人も、NPO法人、ボランティア、地域住民、自治組織などが集まる場をつくり、虐待やDV、認知症高齢者の徘徊などの問題に対処する話し合いを話し合う。個々の利害関係者をつなぎ、課題解決に向けた場づくりをすることが、地域における社会福祉法人の役割になるのではないでしょうか。そこで議論された支援方法について、ヒト・モノ・カネの工面を相談する。必要な人員を配置する、場所を提供する、資金提供をするなどの役割を果たす。そうした支援体制を整えたうえで、行政との連携や補助金の申請などを働きかける。「新しい公共」というと、NPO法人への期待が大きく打ち出されていますが、同じ非営利法人である社会福祉法人も、まちづくりに貢献するために、積極的に手を挙げるべきです。それによって、地域において「新しい公共」のセンターとして社会福祉法人が存在を示すことができます。多様な主体と仲間づくりをして、地域の課題解決の道筋をつくっていく取り組みが必要だと思います。
今回の「行動指針」をいくつか重ねて読み合わせると、地域の福祉課題に主体的に取り組む役割を社会福祉法人に期待している、と読み取ることができます。
【武居】社会福祉法人は、施設と地域、施設と在宅という意識が従来からありましたが、この発想を変えなければいけないと思います。また、地域福祉に関しては、社協に遠慮する向きもありました。
【関川】地域の新しい課題解決への動きは、行政も社協も遅い。あくまで私見ですが、NPO法人も、フットワークが軽いが、概して組織力に課題がある。あるいは、情熱的であるが、システムやプロセスづくりは苦手のようにみえます。そうだとすれば、ここに社会福祉法人が果たす役割があります。さらには、皆さんがその役割を担うことで社協の活性化にもつながると思います。
社協が資金を入手する先は、主に地方公共団体や厚生労働省ですが、社会福祉法人がそれ以外のところから補助金を得て、地域福祉ニーズに応える仕組みをつくる役割を果たすことで、社協の活性化が可能となる。社会福祉法人が、社協とNPO法人とをつなぎ、コーディネートすることで円滑になると思いますし、地域での社会福祉法人の役割が外部からも見えやすくなると思います。
【櫛田】この場合は、社協、NPO法人、社会福祉法人、地方公共団体とのコラボレーションですね。ここでの社会福祉法人の役割は何でしょうか。
【関川】社会福祉法人の担うパートはディレクターです。舞台裏で全体を統制していく役割だといえます。
【浦野】反省させられるのは、これまでは社会福祉法人と地域の社協の関係がよそよしい状態にあったことです。またNPO法人には、妙な敵愾心を抱いている。そんなことに囚われている場合ではありませんね。むしろ、それらの事業主体と相補的な関係を築く必要があります。
これまで、社会福祉法人は零細企業だといってきましたが、片やNPO法人には巨大企業として映る。社会福祉法人には、事務能力やサービスのノウハウも豊富にあります。そうした分野で、NPO法人を支援する、また一緒に取り組んでいくことができる。自らの強みを評価し、活用すべきです。
「アクションプラン2015」推進へ期待すること
【櫛田】最後に、関川さんから「アクションプラン2015」へ期待することをお聞かせください。
【関川】重要なのは「行動指針」14の「ガバナンスの確立」だと思います。社会福祉法人として何を考え、どう行動するかが現在問われているわけで、それを決定・実行できるのは経営組織です。経営資源は限られているなかで、「アクションプラン2015」に示された役割に近づける舵取りができるか、というのがガバナンスだと思います。
株式会社であれば、株主利益に応える経営を忠実かつ公正にしているかが、ガバナンスが求められるポイントであると思います。これに対し、社会福祉法人のガバナンスは、利用者家族、地域住民の利益に応える経営を忠実かつ公正にしているかが問われるべきです。こうした組織の意思決定や手続きの在り方が公正である必要があります。
要するに、ガバナンスにおいて問われるのは、組織統治の結果であり、経営内容です。「行動指針」1~13までを実践していく経営戦略が必要です。各法人の理事会で、「アクションプラン2015」を参考に、今後5年間の中期計画を練り直していただきたい。同時に、それを参考にチェックリストを作成し、実践できたか否かを毎年理事会で議論してほしい。
「アクションプラン2015」は、社会福祉法人の存在意義を高めるために重要なものだと思います。それぞれの法人が、このプランに基づいて実践していただきたいと思います。
【櫛田】私たちは「社会福祉法人発展・強化プロジェクト」の推進に加え、新たな「アクションプラン2015」をベースにした取り組みを促進していきたいと思います。
城陽市障がい者自立支援協議会の設置
障がい者自立支援協議会の意義
9月19日、城陽市において、新たに障がい者自立支援協議会が設置され、委員長に選任されました。障害者自立支援法は、いろいろ批判の多い法律ですが、障がい者と障がいをもたない者が同じ市民の立場から共に障がいがあっても住みやすいまちの在り方を協議する場を設けたことは評価できると思います。
関川 あいさつ
「障害者権利条約に基づき、国内法を整備している。1980年の国際障害者年でも指摘されたことだが、障がい者を排除しようとする社会は弱くて脆い。当協議会においても、大切なことは、障がいの有無に係わらず、地域社会を、ひいては城陽市をどう作っていくか、である。皆様と障がい者が安心して自立した生活を送ることができるように、まちづくりの視点から、施策のありかたを考えていきたい。」
自立支援協議会についての事務局説明
「障がいのある方が地域で暮らす上で、様々な課題があるが、現行の障害福祉サービスや社会資源をその課題の解決と適切に結びつけ、サービス管理、調整するため、推進役となる相談支援事業所の役割は大きい。しかし、その課題に充分に応えられるかと言えば、地域の福祉力や行政の施策の充実だけでは十分ではない。そこで、行政、相談支援事業所、サービス提供事業所、さらに雇用、教育、医療といった機関が「障がい者自立支援協議会」でのつながりを足がかりに、「障がいのある人が地域で安心して暮らせる街づくり」を考えていく。」
課題は、自治体がどのように運営するかに、かっかています。形式的な協議会の運営で済ませている自治体もあるようです。従来の推進協との違いがわからないという意見もあります。城陽市においても、支援事業者の連絡調整会議にならないように、城陽市とも協議しながら、委員の皆さんと住みやすいまちづくりに関わっていきたいと思います。
初回の協議会は、委員の委嘱、委員長の選任、専門部会の設置、専門部会の活動、サービス利用状況の説明などで終了しました。専門部会は、①サービス調整検討部会、②地域支援部会、③就労部会、④聴覚言語障がい支援部会、⑤療育部会が設置されており、活動内容についての報告がありました。委員からの建設的な問題提議もあり、これからの協議が楽しみです。
9月19日、城陽市において、新たに障がい者自立支援協議会が設置され、委員長に選任されました。障害者自立支援法は、いろいろ批判の多い法律ですが、障がい者と障がいをもたない者が同じ市民の立場から共に障がいがあっても住みやすいまちの在り方を協議する場を設けたことは評価できると思います。
関川 あいさつ
「障害者権利条約に基づき、国内法を整備している。1980年の国際障害者年でも指摘されたことだが、障がい者を排除しようとする社会は弱くて脆い。当協議会においても、大切なことは、障がいの有無に係わらず、地域社会を、ひいては城陽市をどう作っていくか、である。皆様と障がい者が安心して自立した生活を送ることができるように、まちづくりの視点から、施策のありかたを考えていきたい。」
自立支援協議会についての事務局説明
「障がいのある方が地域で暮らす上で、様々な課題があるが、現行の障害福祉サービスや社会資源をその課題の解決と適切に結びつけ、サービス管理、調整するため、推進役となる相談支援事業所の役割は大きい。しかし、その課題に充分に応えられるかと言えば、地域の福祉力や行政の施策の充実だけでは十分ではない。そこで、行政、相談支援事業所、サービス提供事業所、さらに雇用、教育、医療といった機関が「障がい者自立支援協議会」でのつながりを足がかりに、「障がいのある人が地域で安心して暮らせる街づくり」を考えていく。」
課題は、自治体がどのように運営するかに、かっかています。形式的な協議会の運営で済ませている自治体もあるようです。従来の推進協との違いがわからないという意見もあります。城陽市においても、支援事業者の連絡調整会議にならないように、城陽市とも協議しながら、委員の皆さんと住みやすいまちづくりに関わっていきたいと思います。
初回の協議会は、委員の委嘱、委員長の選任、専門部会の設置、専門部会の活動、サービス利用状況の説明などで終了しました。専門部会は、①サービス調整検討部会、②地域支援部会、③就労部会、④聴覚言語障がい支援部会、⑤療育部会が設置されており、活動内容についての報告がありました。委員からの建設的な問題提議もあり、これからの協議が楽しみです。
2011年8月30日火曜日
保育リスクマネジメント研修
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