2011年9月28日水曜日

介護マンパワーの確保と定着

介護マンパワーの確保

兵庫県老人福祉事業協会では、23年度「介護マンパワーの確保と定着率に関する調査」を実施しました。会員施設に対し、アンケート調査を実施し、回収された調査結果を分析しているところです。私も、老人福祉事業協会の理事として、この調査に関わっています。

介護マンパワーの確保についての調査は、既に幾つかの組織や調査機関により、実施されています。しかし、介護マンパワー確保の問題は、介護保険の運営に関わる重大な問題です。事業者団体としても、現在の問題状況と問題解決に向けた取り組みを、エビデンスをもって説明する社会的責任があると思います。

マンパワーの確保には、地域特性

マスコミを通じて、介護職員を確保するのがきわめて難しい状況が紹介されますが、マンパワーの確保の難しさや採用後の定着率は、地域によってかなり違いがあることがわかりました。たとえば、阪神ブロックと但馬ブロックを比較すると、但馬ブロックは、職員の平均勤続年数も9.4年と比較的長いことが明らかになりました。これに対して、阪神ブロックでは、職員の平均勤続年数が6.2年と短いことがわかりました。一年間に定年以外の理由から退職した正規職員の人数についても、但馬ブロックが3.1人であるのに対し、阪神ブロックでは9.1人でありました。都市部において、介護マンパワーの確保が重要な経営課題となっています。


与体系 公務員給与に準拠が2割

社会福祉法人の給与は、措置制度の時代には、行政の指導もあり、公務員に準拠する方式をとってきました。規制緩和によって、人事考課制度や能力給制度などを取り入れるなど、給与制度の見直しに着手した法人も少なくありません。しかしながら、介護の仕事は、給与が低いイメージが広がっている現在では、「介護は、地方公務員並みの給与が保証されている仕事である」という説明ができた方が、将来のマンパワーの確保につながると考えます。こうした立場からも、介護報酬のあり方についても、公務員の給与水準を踏まえたものとするべきと考えています。今回の調査では、18.9%の施設が公務員に準ずる給与体系をとっていると回答がありました。

短大専門学校卒業で平均給与初任給月額16万8千円

介護職の初任給は、短大・専門学校卒で、平均16万8千円、大卒で17万8千円でした。また、介護職全体の平均賃金は、月額22万1千円でした。確かに、初任給は決して低額ではありませんが、平均給与が低いように思われます。これは、平均勤続年数が短いことが、影響しているものと思います。介護職の仕事も、具体的にキャリアパスを示し、公務員並みに定着し勤続年数が伸びると、それに応じて給与が上がる魅力的な仕事にしていく必要があると思います。真面目に仕事に励むと、公務員並みの生活ができる給与水準であるべきです。

処遇改善費交付金の利用は89.4%

介護職の給与改善の目的から、処遇改善費交付金制度が創設されました。こうした制度を利用し、職員の給与を改善した施設が、89.4%ありました。これに対して、8.8%の施設が申請していなかったのは残念なことです。事業者としては、将来のマンパワーの確保という立場から、介護職員の処遇改善に熱心であるべきです。労働条件の改善を中心とした魅力的な職場づくりに努力していることを、利用者や地域住民からもわかってもらう必要があります。

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