2026年1月11日日曜日

保育リスクマネジメント実践編

 

定年退職し、あらためて、保育のリスクマネジメントについて連載をし、日ごろ考えていることを少しずつ述べていきたいと思います。教育保育施設の園長、主任など管理者に向けた連載になります。


【連載】保育の質を高めるリスクマネジメント


第1回:なぜ「ベテラン」の現場で事故は起きるのか? ― 職員を守るためのリスクマネジメント

教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議が、今年も開催されます 。そこでは死亡事故の検証や報告が行われますが、資料に目を通すたび、「なぜ防げなかったのか」「体制は整っていたのか」という悔しい思いが込み上げます 。

保護者にとって、安心して子どもを預けられることは大前提です 。園には安全を見守る体制を整える当たり前の義務がありますが、報告される事故の多くは、その「当たり前」が欠落していた結果であることが少なくありません 。

専門性が高いからこそ陥る「心理的落とし穴」

万が一、命に関わる事故が起きれば、保護者の悲しみは計り知れません 。そして同時に、現場にいた保育者もまた、過度な自責の念に駆られ、離職に追い込まれるなど、その人生に深い影を落とします 。

ここで注目すべきは、事故を起こしたのが決して「不真面目な保育者」ではないという点です 。むしろ経験豊富で、責任感があり、園でも頼りにされているベテラン保育者のもとでも事故は発生しています 。

ベテランほど、以下のような心理傾向に陥りやすいことが分かっています。

 ① 異常な兆候があっても「いつも通りだ」「大丈夫だろう」とリスクを過小評価してしまう 。

 ② 知識や経験があるがゆえに、リスクを「わかっている」つもりでスルーしてしまう 。

 ③「まさか」が起きた後になって初めて、現実のリスクに気づく 。


リスクマネジメントは職員を守る「盾」

重大事故が起こると、園には、マスコミや保護者に対して「普段からどのような体制を取っていたか」を説明する責任があります 。

真のリスクマネジメントとは、単に事故を防ぐことだけではありません。「なぜその事故が起きなかったのか」という根拠を、論理的に説明できる力を実装することにあります 。

また、リスクマネジメントの徹底は、子どもたちの命を守ることはもちろん、「職員のキャリアと人生を守るための盾」でもあります 。ヒヤリハット報告を集める上でも、この視点を、ぜひ現場の職員一人ひとりに伝えていただきたいのです 。


リスクを「意図的に意識する」体制づくり

日ごろ事故が起きていなくても、重大事故に繋がる潜在的なリスクは確実に存在しています 。これを見逃さず、意図的に意識して準備を整えることが、園の組織的なリスクマネジメントです 。

そのための第一歩が「ヒヤリハット報告」の活用です。単なる記録作業にせず、「自分ならどう防ぐか」を全員が主体的に考えるきっかけにしていきましょう 。


この活動の裏話や、経営に役立つ資料のお裾分けは、こちらの公式LINE(関川福祉経営研究室)で配信しています。

https://lin.ee/va2H24W


0 件のコメント: